同社のプラットフォームは、セキュリティファーストのIDレイヤーとしてゼロから再構築されたものだ。CEOのZohar Alon氏は「今、実際に存在する労働力は人間、機械、そしてAIエージェントだ」と述べており、レガシーディレクトリにエージェント対応を後付けするのではなく、組織全体の全ID(誰も追跡していないシャドウアカウントを含む)を継続的に発見し、最小権限のアクセスポリシーを一つのコンソールから強制する。Alon氏の目標は直接的だ。「MicrosoftやOktaと正面から競争したい」。
中核的な問題はシンプルでありながら急速に拡大している。企業がAIエージェントにSlackメッセージの読み取りや顧客データベースへのクエリ、コード変更のプッシュを許可する場合、そのエージェントは通常、人間の認証情報を引き継ぐか、過度に広範なサービスアカウント権限で動作する。従来のIDシステムは、このような非人間アクター(Non-Human Actor)をネイティブに認証・認可・監査することができず、セキュリティチームはエージェントが何をし、どのデータにアクセスできるかを把握できない。NewCoreはこれを「現代のエンタープライズIDスタックにおける顕著なサプライチェーンリスク」と呼んでいる。
NewCoreはAIエージェントを最初から第一級のIDとして扱う。各エージェントは運用開始前に最小限のアクセス権限でプロビジョニングされ、発行・統制・封じ込め・失効といった完全なライフサイクル管理が提供される。これは人間の従業員アクセス管理の仕組みをそのままエージェントに反映したものだ。アーキテクチャは、既存のITシステム上に重ねて展開できるように設計されており、ディレクトリやSSO基盤の「リプレース」を必要としない。
今回の資金調達額は、シードステージのサイバーセキュリティ企業としては異例の規模であり、問題の重要性と創業チームの実績を反映している。主な数字は以下の通り。
一部の報道では、この資金をプレシードとシードの合計6600万ドルと説明し、他の報道は単一のシードラウンドと見なしている。Calcalistechによると、Index VenturesとCyberstartsがリードした1600万ドルのプレシードに続き、シードラウンドが拡大して合計6600万ドルに達したとされる。いずれにせよ、このラウンドによりNewCoreは2026年にローンチしたIDセキュリティスタートアップの中でも資金力のある一角となった。
NewCoreは2025年、サイバーセキュリティ、エンタープライズIT、AIの深い経験を持つ3人の共同創業者によって設立された。
同社はすでにテルアビブ(イスラエル)とサンフランシスコに拠点を持ち、50人以上の従業員を擁する。
NewCoreは発表タイミングを業界最大のIDカンファレンスに合わせた。プラットフォームは企業向けに即日利用可能となり、2026年6月15日から18日までラスベガスで開催されるIdentiverseで公開デモが行われる。IdentiverseはID・アクセス管理の実務家向け最高峰のイベントであり、エージェント時代の労働力IDのあり方を再定義しようとするNewCoreにとって自然な発表の場だ。
NewCoreは無人の市場に参入するわけではない。Microsoftは2026年3月のRSACで、IT・セキュリティチームにエージェントアクティビティの可視性を与え、Defender、Entra、Purviewと連携する制御プレーン「Agent 365」を発表した。Oktaも2026年4月30日に「Okta for AI Agents」をGA(一般提供)開始し、エージェントIDのライフサイクル(発見、登録、統制、対応)をネイティブにサポートしている。両社は巨大なインストールベースと統合カタログを持っており、NewCoreはこれらと競争しなければならない。
NewCoreの反論はアーキテクチャにある。既存大手は15年前に人間のために構築されたプラットフォームを拡張しているだけだが、NewCoreは非人間アクターが人間従業員を上回る世界のために、IDをゼロから再構築していると主張する。同社のアバウトページに掲載された投資家の言葉を借りれば、「NewCoreは15年前のアーキテクチャを改良しているのではない。置き換えているのだ」。このアーキテクチャ上の賭けがエンタープライズ導入につながるかは未知数だが、6600万ドルのシードラウンドと3億ドルの評価額は、サイバーセキュリティ分野の「賢いマネー」の少なくとも一部が、エージェントID危機を現実かつ緊急の課題と捉えていることを示している。