Advanced Shader Deliveryでは、処理の流れが次のように変わる。
つまり、ユーザーのPCでコンパイルする作業を減らすことで、ゲーム開始までの待ち時間を大幅に短縮できる。
Microsoftによれば、この方式により初回ロード時間を最大90%短縮し、シェーダーコンパイルによるスタッターの大部分を解消できる可能性があるという。
この機能はDirectXの開発ツール群、特に DirectX 12 Agility SDK と連携して提供されている。これにより開発者はOSアップデートを待たずに新しいグラフィック機能をゲームに組み込める。
コンソールゲームではこの問題が比較的少ない。理由はシンプルで、ハードウェア構成が固定されているからだ。
開発者は特定のGPU向けにシェーダーをコンパイルして、そのままゲームに含めて出荷できる。
一方PCでは環境が非常に多様だ。例えば:
このため多くのDirectX 12ゲームでは、プレイヤーごとにシェーダーを生成する必要があり、初回起動の遅延やプレイ中のマイクロスタッターの原因になっている。
Advanced Shader Deliveryは、ゲーム開発者・GPUメーカー・ストアプラットフォームを連携させて、この問題を事前処理で解決しようとしている。
ASDは当初、ASUSの携帯型ゲーミングPC ROG Xbox Ally など限られた環境で導入されていた。
しかし2026年、Microsoftはこの機能の公開プレビューをWindows 11のAMD GPU搭載PCへ拡大した。
同時期にAMDは Radeon Software: Adrenalin Edition 26.5.2 を公開し、以下の内容を追加している。
このドライバーは2026年5月14日に公開され、Radeonユーザーがゲームをスムーズにプレイできる環境を提供する。
具体的なベンチマーク数値は公開されていないが、ASD対応環境では次のような改善が期待される。
プレイヤー側で特別な設定が必要になるケースは少なく、基本的には環境が揃えば自動的に動作する設計だ。
現時点で必要とされる条件は主に次の通り。
条件が揃うと、ゲームのダウンロード時に事前コンパイル済みシェーダーパッケージが自動的に取得される仕組みになっている。
Advanced Shader Deliveryは単なる最適化機能ではなく、MicrosoftのPCゲーム戦略の重要なピースでもある。
Microsoftが目指しているのは、Windowsゲームをより**コンソールに近い「ダウンロードしてすぐ遊べる体験」**にすることだ。
PCゲームの最大の課題は、何千種類ものハードウェア構成に対応しなければならない点だ。そこでMicrosoftは、
を連携させることで、PCゲームの最大のストレス要因のひとつであるシェーダーコンパイル問題を根本から減らそうとしている。
もしこの仕組みが広く採用されれば、将来的には
といった変化が期待される。
ROG Allyのような携帯PCから始まったASDが、AMD GPUを搭載した一般的なWindows PCにも広がったことは、DirectXエコシステム全体への拡大の第一歩と言えるだろう。