また、答案を採点するだけでなく、得点を伸ばすためにどこを改善すべきかを示し、学習者にすぐフィードバックを返すことを重視しています。手書きの答案を読み取る機能も備えており、数学や化学など、数式や記述答案を扱う教科での利用が想定されています。
ここが、一般的な生成AIとの大きな違いです。概念を説明できるだけでは、試験対策として十分とは限りません。試験では「その答えがどのように評価されるか」「あと何を加えれば得点につながるか」まで理解する必要があるためです。
この数字は、サービスが短期間で大きな利用規模と継続利用を獲得したことを示します。ただし、利用者数や利用時間だけで、成績が向上したと結論づけることはできません。
同社や投資家は、英国の中等教育修了試験GCSEの利用者について成績改善を報告しています。しかし、現時点では企業側または投資家側が示した数値であり、独立した検証によって効果が確立された結果ではありません。
現在、Medlyは1,000人を超える生徒を対象に、AI tutorが学力や成績に与える影響を調査しています。この研究が透明性のある形で公表され、第三者が評価できるデータが示されるまでは、「英国で大きな利用規模を築いた」と評価するのが妥当であり、成績向上への因果効果が証明されたとまでは言えません。
今回の資金は、主に次の取り組みに投入されます。
同社は、大学など高等教育への進学準備を支援する新たな機能も開発しています。こうした機能が加われば、生徒が学校の試験から進学準備へ移る過程でも利用しやすくなる可能性があります。ただし、実際の有効性は今後の検証が必要です。
海外展開は新たな市場機会である一方、技術面での課題も伴います。試験対策では、単に正しい答えを出すだけでなく、試験ごとの出題範囲、採点基準、答案への期待に沿った指導が求められます。
そのためMedlyは、汎用AIに全面的に依存するのではなく、採点や教育法に特化した独自モデルの開発を進めています。英国向けに設計されたアプローチが、SATや将来のAP、ACTでも同じように機能するかは、今後の重要な評価ポイントになります。
Medly AIの事業の背景には、教育における個別指導へのアクセス格差があります。質の高い家庭教師や個別指導塾は、生徒一人ひとりに合わせた支援を提供できますが、費用面から利用できる家庭は限られます。同社は、AIなら個別指導の一部をより大規模に提供できると考えています。
もっとも、利用者を増やすだけでは十分ではありません。AI tutorが教育格差の縮小に貢献するには、手頃な価格で利用でき、回答やフィードバックが信頼でき、実際に受験する試験と整合している必要があります。さらに、もともと学習意欲や成績が高い生徒だけでなく、幅広い学習者に効果があることも示さなければなりません。
その意味で、今回の調達において利用者数の拡大と同じくらい重要なのが、学習成果の研究です。800万ドルによってMedlyは、より多くの生徒への提供と、より専門的なAIの開発を進められます。最終的に問われるのは、その技術が多様な生徒の成績を測定可能な形で改善できるかどうかです。