『LumenTale』の際立った特徴は、単なるモンスター収集の枠を超えた、ゲームシステムの積み重ねと、発売時の技術的な躓きにある。
本作はその影響源を隠していない。Beehive StudiosのCEO、パオロ・レラ氏はGamesRadar+に対し、ポケモンとの比較を否定するのは「偽善者」に見えるだろうと語った 。しかしこのゲームは、ポケモンと同じ土俵で戦おうとしているのではなく、レラ氏の言う「代替作」を目指している
。その「代替」の内実を紐解いていこう。
タレアの人間のほとんどは、同時に一匹のアニモンとしか絆を結べない。複数のクリーチャーを従えられるのは、エリートである「ルーメン」と呼ばれる訓練者だけだ 。この設定上の制約は、パーティ編成という行為に「誰を選ぶ資格があるのか」という文脈を与え、単なる「捕まえて終わり」ではない重みを生んでいる。
ポケットモンスターが基本1対1、あるいはダブルバトルを採用しているのに対し、本作は1対1に加えて、本格的な4対4の集団戦を導入している 。この大規模フォーマットは、配置、シナジー、行動順の計画といった、より深い戦術性を生み出し、単なるじゃんけん的な相性ゲームとは一線を画す
。
相手の属性弱点を突くことで、ボーナスアクション用のメーターが溜まり、これが満タンになると追加ターンを得られる 。これは、固定されたタイプ相性表に依存するポケモンのシステムを超え、対戦相手に対し積極的に攻めるリスクとリターンのレイヤーを追加するものだ
。ただし、Phenixx Gamingはこのシステムについて「機能はしているが、新味はなく、標準的なポケモンゲームのような最低限の戦略しか求められない」とも評しており
、評価はプレイスタイルによって分かれるようだ。
本作は、競合コレクションよりも世界観、設定、クリーチャーとの絆を重視した構造になっている 。Siliconeraのレビューでは、「ポケモン風の体験というより、時に伝統的なJRPGやターン制バトルに重きを置いているように感じられる」と指摘されている
。プレイヤーの選択がストーリーの方向性を大きく左右する点も、ほぼ一本道のポケモン本編シリーズとは一線を画す、大きな物語上の自由度だ
。
料理やクラフトといった要素に加え、戦闘以外でもアニモンと交流できる「アニスペース」というカスタマイズ可能なクリーチャー保護区、さらに「ホロケン」と呼ばれるデバイスを使った、従来のバトルか単独のクイックタイムイベント(QTE)で捕獲を行えるシステムが搭載されている 。これらの機能は本作をライフシミュレーションの領域に引き寄せており、Nintendo Lifeは、料理やクラフトへの注力がポケモンとの明確な差別化要因だと指摘した
。
これだけの野心作であるにもかかわらず、本作を取り巻く会話は発売時の状況によって複雑なものになっている。複数のレビューや初期のプレイヤーレポートは、体験を損なう技術的な問題点を指摘している。
Destructoidのレビュー(2026年5月23日付)は、この点を最も詳細に伝えている。レビュアーは本作を「このジャンルのファン必携」と呼ぶ一方で、技術的なパフォーマンスが「頻繁に足を引っ張っており」、「複数のバグによって体験が損なわれかけた」と厳しい評価を下した 。具体的なバグとしては以下のようなものが挙げられている。
Metacriticの総評でも「捕獲システムが不透明に感じられ、ゲーム全体に洗練さが欠ける」と指摘されている 。Gaming Couch Potatoは、体験を支える創造性と並行して、テンポや見せ方の問題を挙げ、10点満点中6点というスコアを付けた
。
技術面では、本作がUnityエンジンで開発され(SteamDBより確認)、オンライン機能にEpic Online Services SDKを利用していることがわかっている 。Unity自体に本質的なバグが多いわけではないが、小規模スタジオは最適化に苦労することが多く、ハイブリッドな2D/3Dアートスタイル
との兼ね合いで、フレームレートや安定性への不満の一因となった可能性はある。
さらに、デモ版の時代から燻る問題も指摘されている。2023年にSteamフォーラムへ投稿された内容では、一部のサイドクエスト後にアニモンを捕獲できなくなるというバグや、ステータスシステムが不明瞭であるとの指摘がなされていた 。これらが製品版でも解消されているかどうかは初期のレビューでは確認されていないが、技術面での粗さが長く尾を引いていることを示唆している。
なお、本作はもともと2025年の発売を予定していたが、2026年春へ、最終的には同年5月26日へと延期されている 。この追加の開発期間をもってしても、すべてのパフォーマンス問題に決着をつけるには至らなかったようだ。
『LumenTale: Memories of Trey』は、発売時点で以下の2プラットフォームに対応している。
当初のKickstarterキャンペーンではPlayStationとXboxへの移植がストレッチゴールとして設定され、目標額を達成した 。キャンペーンは最終的に18万6000ドルを調達し、コンソール移植に加え、拡張されたハウジングシステムや、『NieR』『Dark Souls』シリーズで知られるエミ・エヴァンス氏によるイントロ曲などが目標として掲げられた
。しかし発売日時点で、これらの追加プラットフォーム版の開発状況に関する公式発表はない。
初期の批評家たちの見解は一貫した傾向を見せている。即ち、核となるデザインの野心的な部分を評価しつつも、実行面での不足がそれを損なっている、というものだ。
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