Vision Meta Turismoは、キアの主力であるSUVやクロスオーバーとは違う、低く構えた電動パフォーマンスカーの提案だ。Car and Driverはミラノで展示された車両を、ウェッジ形の電動スポーツセダンと表現している。Auto Expressも、スティンガーが2023年に生産終了して以降、キアがしばらく手を出していなかった4ドアサルーン/GTの領域に戻るものとして見ている。
デザイン面では、キアのデザイン思想である「Opposites United」を反映したコンセプトとされる。さらに、Speedster、Dreamer、Gamerというデジタル走行モードや、ARヘッドアップディスプレイの採用も報じられている。ただし、こうした機能はあくまでコンセプトカー上の提案であり、市販版にそのまま載るとは限らない。
スティンガーは、キアにとってブランドイメージを引き上げるパフォーマンス系の象徴だった。そのスティンガーが2023年に終了したことで、低い4ドアボディ、走りを意識したキャラクター、ブランドの顔になるGTという点を備えるVision Meta Turismoが、自然と後継候補として見られている。
ただし、キアが公式に「これは新型スティンガーです」と発表したわけではない。Auto Expressは、キアがこのコンセプトについてスティンガーの名を直接使っていない一方、展示内容や車両の形からサルーン/GT領域への復帰を示唆していると報じている。InsideEVsも、Meta Turismoは特定の市販車をそのまま予告するものではないが、キアがスポーティで感情に訴えるEVを作る意思を示していると見ている。
つまり現時点で最も正確なのは、スティンガーの「精神的後継」という言い方だ。実現しても、ガソリンエンジンのスティンガーGTをそのまま復活させるのではなく、その役割をEV時代の4ドアGTへ移すモデルになる可能性が高い。
かなり近づいているように見えるが、まだ正式な商品発表ではない。現時点の材料を整理すると、こうなる。
| 論点 | 現在の報道 | 読み取れること |
|---|---|---|
| キアは本当に作る気があるのか | Motor1は、キアがVision Meta Turismoの量産版開発に狙いを定めていると報じている。Electrekは、量産準備が約90%進んでいるとも伝えている。 | ただのデザイン実験ではなく、かなり真剣なプロジェクトと見てよさそう。 |
| 何が足かせなのか | 開発・生産コストの高さ、顧客の需要、価格への期待値が課題として挙げられている。 | デザインが良くても、採算と価格が合わなければ市販化は難しい。 |
| 発売時期やスペックはあるのか | これまでの報道では市販モデルや発売時期は未確定で、バッテリー、出力、航続距離、価格なども公表されていない。 | まだショールームに並ぶ段階ではない。 |
| 車名は決まっているのか | EV7、EV8、あるいはスティンガー関連の名称が取り沙汰されているが、確定情報ではない。 | 名前だけで市販計画を判断するのは早い。 |
最も強い追い風は、約90%量産準備完了という報道だ。一方で最大の注意点は、キアが採算性と価格のバランスを見極めているとみられることだ。
もしVision Meta Turismoが量産に進むなら、内燃機関のスティンガーGTを置き換える車というより、電動の高性能GT、あるいはファストバック風スポーツセダンとして登場する可能性が高い。複数の報道は、このコンセプトをキアの電動パフォーマンス系の象徴、いわゆるハローモデルに近い存在として捉えている。
逆に、まだ決めつけるべきでないことも多い。最終的な性能値、航続距離、充電性能、プラットフォーム、サイズ、販売地域、価格は未公表だ。キアが実際に市場へ出すかどうかは、魅力的な価格で作れるか、そして顧客がその価格を受け入れるかに大きく左右される。
Vision Meta Turismoは、スティンガー終了後のキアがもう一度、感情に訴える4ドアパフォーマンスカーを作ろうとしていることを示す、最もはっきりしたサインだ。電動で、低く、デザイン性が強く、しかも通常のコンセプトカーより量産に近いと報じられている。
ただし、最終車名、発売時期、スペック、価格が正式に発表されるまでは、あくまで「市販化がかなり期待できるコンセプト」であり、確定した新型車ではない。電動版スティンガーを待つなら、期待しつつも、まだ少し距離を置いて見ておくのが現実的だ。