ジョン・ルイスは、AIを使って「何を買うべきか」を調べる消費者が増えるなか、商品やブランドに関する情報を常に見つけやすい形で発信する戦略に動いている。AIエージェント経由の検索は、1年前の0.3%から2.5%へ上昇したという。そこで同社は、季節キャンペーン中心だった発信を、動画とSNSを軸に通年型へ広げようとしている。
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狙いは「探される情報」を増やすこと
中核となるのが、ロンドン・オックスフォード・ストリート店内に開設したコンテンツ制作拠点「The Box Studio」だ。購買判断に影響する動画やSNS向けコンテンツを制作する施設で、ジョン・ルイスが2007年以降、年1回のクリスマス期を中心に展開してきたストーリーテリングを、通年の取り組みに変える位置づけである。
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同社は大型キャンペーンだけに頼るのではなく、クリエイターが継続的にコンテンツを作れる場を設ける。ロイターによると、インフルエンサーはこのスタジオで毎日撮影できるという。
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商品探しの起点は、店舗や小売サイトだけではない。SNS、動画サービス、そしてAI支援型検索へと広がっている。コンテンツを増やせば、消費者や検索システムが参照できる情報は厚くなる。ただし、それだけで特定のAIチャットボットの推薦にジョン・ルイスが必ず表示されるわけではない。
第1弾は動画番組「Gift List」
スタジオの最初の制作物は、司会者アンジェラ・スキャンロンがホストを務める、SNSファーストのボッドキャスト(動画ポッドキャスト)「Gift List」だ。初回ゲストには放送ジャーナリストのルイ・セローを迎える。ジョン・ルイスによれば、贈り物をすること・受け取ることの背景にあるエピソードを扱い、SNSでの配信を前提に制作される。
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単発広告ではなく、会話を軸にした映像や短いクリップを継続して生み出せる点が、この形式の特徴だ。消費者が小売サイトを訪れる前に、漠然とした質問、アイデア探し、SNSのフィードから商品リサーチを始める場面では、こうした蓄積型の情報発信が重要になる。
投資額は非公表、AIでの優位も未証明
ジョン・ルイスは、スタジオやコンテンツ事業にいくら投資するのかを開示していない。戦略の狙いは明確だが、この取り組みによって特定のAIサービスの回答内で有利な位置を得られることを示す根拠は、現時点ではない。
小売企業にとって、この違いは重要だ。関連性の高い情報を公開すれば、オンライン上で理解・発見される可能性は高まり得る。一方で、どの情報や商品を提示するかは、各AIプラットフォームが独自の仕組みで決める。
厳しい消費環境での賭け
この投資は、決して楽観的な市場環境のなかで行われるものではない。ジョン・ルイス・パートナーシップのジェイソン・タリー会長は従業員に対し、「売上減少とコスト上昇」に備えると警告した。大幅値引きに依存するのではなく、利益率の維持と在庫管理を重視する方針だという。
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消費者が裁量的な支出に慎重になる局面では、比較検討の早い段階で選択肢に入ることの価値が増す。顧客が候補を絞り込んだり、競合に決めたりする前に見つけてもらえるかが、より重要になるためだ。
経営トップ交代と並行して展開
この施策は、トップ交代の時期とも重なる。ピーター・ルイス氏は新たなプロジェクトに取り組むため、9月6日付でジョン・ルイスのマネージングディレクターを退任した。後任には、ジョン・ルイス・パートナーシップの非常勤取締役だったウィル・カーナン氏が、同社が「秩序ある承継計画」と呼ぶ形で9月中旬に就任する。
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当面の焦点は、常時発信するコンテンツ戦略が、急成長するAI検索経由の接点を実際の顧客の関心や売上へ結び付けられるかどうかだ。ジョン・ルイスは変化を早期に捉えて制作基盤を整えた。だが、慎重な消費市場において、可視性の向上が測定可能な競争優位になるかは、これから問われる。