ユニクレディト側は、欧州でより競争力のある銀行グループを作るための第一歩だと説明しています。また、すぐに完全支配を目指しているわけではなく、まずは対話や将来的な統合を促す狙いだとも述べています。
しかしコメルツ銀行は、この提案を**事前協議のない「敵対的アプローチ」**と位置づけています。
コメルツ銀行の経営陣と監督委員会は共同声明で、株主に対して交換オファーを受け入れないよう推奨しました。主な理由は次の通りです。
市場価格より低い評価
提案は株式市場での評価より低い水準で、通常の買収案件で期待される「プレミアム」がほとんどないと指摘しています。
独立戦略より価値を生まない可能性
コメルツ銀行は、自社の既存戦略の方が株主価値を高められると主張しています。
統合計画が現実的でない
ユニクレディトの計画は収益減少を過小評価し、シナジーを過大評価している可能性があると批判しています。
ビジネスモデルへの影響
コメルツ銀行はドイツやDACH地域(ドイツ・オーストリア・スイス)の企業向け金融ネットワークに強みがあり、統合でその強みが弱まる恐れがあるとしています。
買収防衛の意味もあり、コメルツ銀行は新たな経営戦略を打ち出しました。
その一環として、約3,000人の追加人員削減を行う一方、2030年に向けて収益と利益の目標を大幅に引き上げる計画です。
経営陣は、これにより「独立したままでもより高い企業価値を生み出せる」ことを投資家に示したいとしています。
買収計画には、労働組合や従業員代表から強い反対が出ています。
主な懸念は以下です。
従業員側は、ドイツに拠点を置く独立した銀行を維持することが重要だと訴えています。
この問題には政治も関わっています。
ドイツ政府は、世界金融危機時の救済の名残としてコメルツ銀行の約12%の株式を保有しており、議論に影響力を持っています。
ベルリンの政府関係者は、ドイツのシステム上重要な銀行への敵対的買収には懸念があると表明しています。
現時点で、コメルツ銀行の経営陣は株主に対し株式交換オファーに応じないよう正式に勧告しています。
ただし最終的な結果は、投資家が次のどちらを信じるかにかかっています。
現在の条件が支持を得られない場合、次の展開が考えられます。
1. ユニクレディトが条件を引き上げる
交換比率を改善する、あるいは明確な買収プレミアムを提示する可能性。
2. 買収は失敗するが大株主として残る
十分な株主が応じなければ、ユニクレディトは影響力のある株主にとどまることになります。
3. 将来の再交渉
市場環境や戦略状況の変化を待って再び交渉が始まる可能性。
4. コメルツ銀行の独立戦略が成功する
収益改善と株価上昇が実現すれば、買収の論拠自体が弱まる可能性があります。
この攻防は、欧州金融界の大きなテーマを象徴しています。つまり、
という議論です。
今のところコメルツ銀行は「独立路線」を守る構えです。次の動きは、ユニクレディトが提示条件を引き上げるかどうかにかかっています。