《La Caverne du Pont Neuf》は、1985年にアーティストデュオのクリストとジャンヌ=クロードが制作した伝説的な公共アート《The Pont Neuf Wrapped》へのトリビュートとして構想された。
当時の作品では、ポン・ヌフ全体が約45万平方フィートの金色の布で包まれ、パリの景観を一時的にまったく違う姿に変えた。JRの作品も同じ場所を使い、「橋そのものを作品化する」というコンセプトを引き継いでいる。
ただし手法はまったく異なる。布で包む代わりに、JRは橋の周囲に巨大な人工の洞窟構造をつくり出す。結果として、橋の石造アーチが岩山から現れたように見える壮大な錯視が生まれる。
インスタレーションのスケールは非常に大きい。
橋全体を覆うこの構造は、実際には**空気で膨らむ「空気膜建築(ニューマチック構造)」**で作られている。
特徴は次の通り。
遠くから見ると、セーヌ川の真ん中に巨大な岩山が突然出現したように見えるが、実際には軽量素材と空気で成立する巨大な舞台装置のような構造だ。
作品は外から眺めるだけではなく、内部を歩いて体験する設計になっている。
訪問者は橋を渡りながら、暗い洞窟のトンネルのような内部空間を通過する。日常の通路だった場所が、突然まったく別の環境へ変わるのがこの作品のポイントだ。
内部体験を構成する要素には次がある。
これらにより、物理空間・音・デジタル映像が組み合わさった総合的な体験型アートとなっている。
《La Caverne du Pont Neuf》は、誰でも体験できる公共アートとして公開される。
主な情報は以下の通り。
展示期間中、橋は通常の車両通行ではなく歩行者が体験できる空間として使われる予定で、昼夜を問わず洞窟の中を歩くことができる。
JRはこれまで都市の屋上や国境、建築物の外壁などを舞台にした大規模作品で知られてきたが、このプロジェクトはその中でも特に野心的なものとされる。規模と体験人数の面から、世界最大級の没入型アートになる可能性も指摘されている。
40年前にクリストとジャンヌ=クロードが行った大胆な都市介入を、次の世代のアーティストが別の方法で引き継ぐ——。
《La Caverne du Pont Neuf》は、見慣れた都市の風景が一時的にまったく違う世界へ変わる、その瞬間を体験できる作品と言えるだろう。