最近の下げで特に目立つのが韓国市場です。韓国の代表指数KOSPIは、半導体企業の影響が非常に大きい構造になっています。
サムスン電子やSKハイニックスといった世界的メモリーチップメーカーは、AIブームによる需要拡大への期待から今年に入って株価が大きく上昇しました。しかし、地政学リスクが高まり投資家のリスク許容度が下がると、こうした大型テック株は利益確定売りの対象になりやすくなります。
実際、原油価格の変動や中東情勢への不安が広がる中で、KOSPIは一時約3%下落するなど大きく値を崩しました。
日本市場も同様に軟調です。日経平均株価は直前まで過去最高水準付近で推移していたため、世界的なリスク回避の動きが出ると利益確定売りが出やすい状況でした。
加えて、日本特有の要因もあります。2026年第1四半期のGDPは年率換算で2.1%成長と、市場予想の約1.7%を上回りました。消費と輸出の改善が成長を押し上げています。
通常は好材料ですが、今回は逆に「日本銀行が利上げを進める可能性」を意識させました。利上げ期待が高まると長期金利や円が上昇しやすく、輸出企業の多い日本株にはマイナス要因になり得ます。
現在のアジア株の特徴は、少数の巨大テクノロジー企業が指数の動きを大きく左右する点です。
韓国ではサムスン電子とSKハイニックス、日本では半導体製造装置メーカーなどが指数に与える影響が非常に大きく、AI関連の期待が強いときには市場を押し上げ、逆にセンチメントが悪化すると指数全体を押し下げます。
そのため、AI関連銘柄の勢いが一時的に弱まるだけでも市場全体のボラティリティが高まりやすくなっています。
一方で、アジア市場すべてが同じように下げているわけではありません。豪州のS&P/ASX200や香港のハンセン指数は、同じ期間でも比較的安定した動きを見せる場面があります。
その背景にはいくつかの要因があります。
・資源企業の比率が高い市場では、原油や資源価格の上昇がむしろ追い風になる
・各国政府の景気対策や政策期待が投資家心理を支える
・急落後の割安感を狙った買いが入りやすい
こうした違いにより、アジア市場は同じ地政学ショックでも「国ごとに異なる動き」を見せることになります。
現在の市場は、二つの力が綱引きをしています。
一つはイラン情勢に伴う原油高と金利上昇のリスク。もう一つは各国の景気や産業構造、金融政策の違いです。
エネルギー価格や金利見通しが落ち着かない限り、アジア株式市場は地域全体で同じ方向に動くというより、「国ごとにばらつく展開」が続く可能性が高いとみられています。