この見方は、いまや主要証券会社の市場見通しにも反映されている。ゴールドマン・サックスは韓国をアジアで最有力の市場とし、韓国総合株価指数であるKOSPIの目標を9,000に引き上げたと報じられている。理由として挙げられているのが、AI主導のメモリーチップ需要だ。
ヘッジファンドにとっての魅力は明確だ。AIデータセンター投資が続けば、高性能メモリー需要を通じて韓国企業の業績期待に波及する、という見立てが成り立つからだ。
JPモルガン・アセット・マネジメントも、AI関連テクノロジー株の強さを説明する文脈で、TSMCをアジア株ポートフォリオの主要銘柄として挙げている。 実務的には、台湾株はAIチップの設計そのものというより、その製造レイヤーに投資したい資金の受け皿になっている。
ただし、台湾株には地政学リスクという重い論点もある。モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントは、台湾市場は半導体・テクノロジー企業の利益見通しの強さやAIサプライチェーンへの投資家選好に支えられた一方、地政学的な展開に伴う変動性もあったと述べている。
日本の役割は、韓国や台湾とは少し違う。韓国のようにメモリー半導体に直結するわけでも、台湾のようにTSMCを中心としたファウンドリーの象徴というわけでもない。
それでも日本株は、今回のヘッジファンド買いの波にしっかり含まれている。モルガン・スタンレーが示した10年ぶり高水準のフローデータには、日本株が韓国株、台湾株と並んで含まれていた。 また、ゴールドマン・サックスのデータでも、2026年初めのアジア株買いは新興国だけでなく先進国市場にも及んでいた。
海外ファンドにとって日本は、同じ北アジアのAI・半導体関連ローテーションに参加しながら、より流動性の高い先進国市場として使いやすい面がある。
資金流入を強めているのは、AIテーマだけではない。実際の株価パフォーマンスも大きい。
モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントによると、2026年第1四半期の新興国株リターンは大きく分かれた。テクノロジー比重の高い北アジア市場は韓国が+16.54%、台湾が+9.09%と上昇した一方、インドは-18.13%、中国は-8.94%だった。
こうした相対的な強さは、投資家心理をさらに押し上げやすい。上がる市場に資金が入り、資金流入がまた上昇を支える、という循環だ。
韓国ではこの循環が特に見えやすい。Business Insiderによれば、ゴールドマン・サックスは韓国株が世界有数の急騰を見せた後でもなお魅力的だとみている。 The Business Timesによると、JPモルガンのKOSPI強気目標10,000は、前週金曜終値から33%の上値余地を示す水準だった。
強気材料が多い一方で、ヘッジファンドの買いが増えれば増えるほど、取引は混み合う。Aju Pressはゴールドマン・サックスの顧客向けノートを引用し、ヘッジファンドのアジア株エクスポージャーが少なくとも2016年以来の最高水準に達し、流入は韓国、台湾、中国などに集中したと報じた。
これは二つの意味を持つ。一つは、機関投資家がAI・半導体テーマに強い確信を持っているということ。もう一つは、利益確定、バリュエーションへの警戒、半導体決算の失望、地政学ニュースなどが出たときに、巻き戻しが大きくなりやすいということだ。
AInvestは、ヘッジファンドが新興アジアへの大きなロングエクスポージャーを維持しつつ、台湾や韓国などでショートを含むポジションを戦術的に使い、混み合ったAI取引や地政学リスクを管理しているとまとめている。
証券会社の目標引き上げは、テーマ投資をより具体的な指数目標や業績見通しに変える。韓国では、ゴールドマン・サックスのKOSPI目標9,000、JPモルガンの強気シナリオ10,000が、韓国株を単なる景気循環の回復ではなく、AIメモリー需要の主要な受益市場として位置づけている。
さらにマクロ面でも強気材料がある。ゴールドマン・サックスのエコノミストは、韓国と台湾のAI主導のチップブームが両国・地域の経常黒字を過去最高水準へ膨らませる可能性があるとし、これをAI主導のスーパー黒字と呼んだと報じられている。
つまり投資家は、個別企業の利益だけでなく、AI関連輸出が経済全体を押し上げる可能性にも注目している。
結論として、ヘッジファンドが韓国、台湾、日本株を買い急ぐ理由は、北アジアがAI半導体サイクルへの最も濃い投資先の一つだからだ。業績期待、相場の勢い、ウォール街の格上げが同じ方向を向いていることが資金流入を加速させている。ただし、人気取引になった時点で、混み合いと地政学リスクは無視できない。
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