市場では、9月の欧州中央銀行(ECB)による利上げがほぼ既定路線として扱われている。最新の市場指標では、2026年9月10日の会合で25ベーシスポイント(0.25%)利上げが実施され、預金ファシリティ金利が2.25%から2.50%へ引き上げられる確率は約95%に達している。
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14 実現すれば、6月に続く2026年2回目の利上げとなる。
背景にあるのは、ECBにとって厄介な組み合わせだ。中東情勢の長期化に伴うエネルギー価格の上昇がインフレ率を2%の目標から遠ざける一方、ユーロ圏の経済活動は追加引き締めを妨げるほど弱くなっていない。為替市場では、ECBと米連邦準備制度理事会(FRB)の政策見通しの差がユーロを支える要因になっている。ただし、米国の経済指標や中央銀行関係者の発言には依然として敏感だ。
9月利上げがほぼ織り込み済みになった理由
エネルギー高が一時的な問題ではなくなった
直接のきっかけは、長期化する中東紛争に関連したエネルギー価格のショックだ。ECBは7月、預金ファシリティ金利を2.25%に据え置いたものの、ショックの強さと期間、さらに間接的な影響や二次的な波及効果を注視していると表明した。
5 これは、エネルギー価格の上昇を一過性のインフレ要因として片付けず、追加利上げの余地を残すメッセージと受け止められた。
エネルギー価格の上昇は、企業のコストや輸送費を通じて幅広い財・サービスの価格に波及し、インフレ率をより長く目標を上回らせる可能性がある。ロイターの8月調査では、69人中57人のエコノミストが9月の25ベーシスポイント利上げを予想し、預金ファシリティ金利は2.50%に達すると見込まれていた。
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インフレ指標も懸念を裏付けている。6月のロイター調査では、ユーロ圏の5月インフレ率は3.2%、エネルギーと食品を除くコアインフレ率は2.5%とされた。
4 また別の調査では、ユーロ圏インフレ率は2.9%に達し、原油価格は紛争前の水準を約25%上回っていると報じられている。
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景気は利上げを阻むほど悪化していない
今回のECBは、景気が崩壊するなかで金融引き締めを進めているわけではない。野村のストラテジストは、アイルランドを除くユーロ圏の国内総生産(GDP)が、紛争下でも潜在成長率に近いペースで拡大していると指摘している。また、インフレ率を2.8%と予想し、9月に25ベーシスポイントの追加利上げが行われると見込んだ。
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この底堅さにより、ECBは景気下支えよりもインフレ抑制を優先しやすくなる。市場が「1回利上げして終わり」という見方を超え始めた理由もここにある。ロイターによれば、地政学的な圧力が続けば、ECBの預金金利が2027年末までに3%近くまで上昇する可能性を織り込む動きも強まっている。
2 もっとも、こうした中長期の見通しは、9月の利上げ予想ほど確度が高いわけではない。
FRBとの違いがユーロを支える
提供された情報で最も明確な対比は、追加利上げへと再評価されるECBと、当面は慎重姿勢が見込まれるFRBだ。
米国では、インフレ指標の軟化によって、FRBが直ちに利上げを行わない余地が広がった。ロイターによると、9月のFRB利上げ確率は前週の52.2%から30.6%へ低下した。
21 別の報道でも、弱めの経済指標を受け、市場はFRBがよりハト派的な対応を取ると見込んでいるとされた。
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為替相場が反応するのは、現在の金利水準だけではなく、将来の金利見通しの方向だ。ECBの利上げ予想が強まる一方、FRBの見通しが据え置き、または低下すれば、ドルが持つ短期的な利回り優位性は縮小する。欧州の成長が特に力強くなくても、相対的な金融政策の変化がユーロを支える可能性がある。
なお、英国の金融政策については、今回の資料から詳細な見通しを導く根拠は限られている。対象期間中にポンドがユーロやドルに対して弱含む場面はあったが、その動きを英国のインフレ鈍化や景気減速に直接結びつけるのは適切ではない。
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EUR/USDへの影響は?
ユーロの最近の上昇は、金利差の両側がユーロに有利に動いた結果と整合する。ECBには追加利上げ観測がある一方、トレーダーはFRBの早期利上げ予想を後退させている。ユーロは一時1ユーロ=1.17ドル近辺まで上昇し、8月25日のEUR/USDはおよそ1.1655だった。
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1.17ドル台からの反落だけで、上昇トレンドの反転と判断することはできない。主要な米国イベントを前に、利益確定やポジション調整が出た動きとも解釈できる。ロイターによれば、8月21日にはドルが対ユーロで3カ月ぶりの安値を付け、ユーロは一時1.1711ドルまで上昇した。
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目先の基調は、ややユーロに追い風とみられる。ただし、一方向に進む相場ではない。7月の個人消費支出(PCE)インフレ指標は、米FRB議長がジャクソンホール会議で講演する直前に発表されるため、インフレデータと講演の双方がFRBの政策見通しを試す材料になる。
26 今年のジャクソンホール講演は、債券利回りや短期的な政策運営、FRBの独立性をめぐる手がかりを求める市場参加者にとって、特に重要度が高まっている。
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米国のインフレ率が予想を上回る、またはFRBがタカ派的なメッセージを発すれば、ドル買いが再燃する可能性がある。反対に、ユーロ圏でインフレ圧力の根強さが確認されれば、9月のECB利上げ観測はさらに強まりやすい。ユーロにとって最大のリスクは、特にコア指標を含むインフレ率が大きく下振れし、追加利上げの必要性が薄れることだ。
結論
市場が9月のECB利上げを織り込んでいるのは、エネルギー価格に起因するインフレが追加の金融引き締めを必要とするほど持続的になり、しかもユーロ圏の経済活動が底堅さを保っているためだ。最新の市場指標では、25ベーシスポイント利上げによって預金ファシリティ金利が2.50%になる確率は約95%で、当初の市場予想にあった約93%をやや上回っている。
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EUR/USDでは、ECBがタカ派姿勢を強める一方でFRBが慎重になれば、ドルの予想金利優位性が縮小することがユーロの支えになる。ただし、米国のPCEインフレ指標やジャクソンホールでの発言を受け、短期的には値動きが荒くなる可能性がある。ユーロ圏インフレが予想を大きく下回るか、FRBが予想外に積極的な引き締め姿勢を示さない限り、ユーロを支える金利差の構図は維持されそうだ。