市場の不安を強めているもう一つの要因が、米国とイランの外交交渉の停滞です。
例えば、イランが米国との対面協議の第2ラウンドを拒否したとの報道が出た際、ビットコインは約73,753ドルまで下落しました 。
また別のケースでは、交渉の崩壊やホルムズ海峡封鎖の可能性が報じられたことで、ビットコインが72,000ドルを下回り、1億ドル以上のロングポジションが強制清算されたとされています 。
こうした動きは、暗号資産市場が**コモディティや株式市場と同じ「マクロ要因」**に影響されていることを示しています。
ホルムズ海峡を巡る緊張は、暗号資産だけでなく金融市場全体に影響しています。
エネルギー供給リスクが高まると原油価格が上昇し、インフレ圧力が強まり、結果として国債利回り上昇や金融引き締め環境につながる可能性があります。
こうした環境では投資家は一般にボラティリティの高い資産への投資を減らすため、暗号資産も売られやすくなります 。
ビットコインは「デジタルゴールド」と呼ばれることもありますが、市場ストレス時には依然として典型的なリスク資産のように動くことが多いと指摘されています。
暗号資産市場では、デリバティブ(先物など)の高いレバレッジが価格変動を大きくすることがあります。
例えば、ビットコインが一度7万8,000ドルを突破した後に7万6,000ドルを割り込んだ局面では、7億6,000万ドル以上のポジションが清算されたと報じられています 。
また、約8万ドルから7万6,000ドルを下回る下落では、1億ドル以上のロングポジションが強制清算されました 。
価格が急落すると取引所のリスク管理システムによってポジションが自動決済され、売りが売りを呼ぶ連鎖が発生することがあります。
もう一つ重要なのが、ビットコイン現物ETFの資金フローです。
2026年5月中旬には、米国の現物ビットコインETFから約2億9,000万ドルの純流出が確認されたと報じられ、ビットコインは約78,143ドル付近で推移していました 。
ETFは機関投資家の資金流入を示す重要な指標であり、流出が続くと市場の流動性と投資家心理に影響を与えます。
対照的に、以前は約10億ドルの週間流入があり、これが価格の支えになった時期もありました 。
現在、市場が最も注目している価格帯は7万8,000〜7万5,000ドルです。
7万8,000ドルを維持できなかったことで、この水準は短期的なレジスタンス(上値抵抗)に変わりました。一方、ホルムズ海峡関連のニュースによる下落では、価格が7万5,000ドル前後まで押し下げられるケースが目立ちます 。
もし7万5,000ドルを明確に割り込むと、過去の下落局面で見られた7万3,000ドル台、あるいは7万ドル前半まで下値を試す可能性が指摘されています 。
逆に、ビットコインが7万8,000ドルを回復できれば、以前の外交期待で到達した8万〜8万2,000ドルゾーンへの再上昇も視野に入るとみられています 。
ビットコインの弱さは、アルトコインにも波及しています。
直近の下落局面では、イーサリアム(ETH)がビットコイン以上の下落率となり、リスク資産としての性格がより強く表れました 。
一般的に、暗号資産市場がリスク回避局面に入ると、アルトコインはBTCよりも大きく下落する傾向があります。
現在のビットコイン市場は、地政学ニュースと流動性の交差点にあります。
これらの要素が同時に価格を左右しています。
地政学リスクが緩和したり、ETF資金が再び流入したりすれば、市場心理は急速に改善する可能性があります。逆に、7万5,000ドル割れと清算の連鎖が起きれば、暗号資産市場全体にさらなる下落圧力が広がる可能性があります。