タウンズの後ろに控えるのは、イースト決勝でほとんど実戦機会のなかった2年目のアリエル・フクポルティか、OG・アヌノビーをセンターに配置するスモールボールのオプションのみ。関係者によれば、ロビンソンが出場できない場合の最も直接的な代役はフクポルティとなる見通しだが、アヌノビーを5番(センター)で起用するラインアップは「ほぼ確実」に採用されるだろうとの見方もある
。どちらにも大きなトレードオフが伴う。フクポルティならある程度のサイズを維持できるが、ロビンソンのような守備センスは期待できない。アヌノビーのスモールボールはスペーシングとスイッチ守備を向上させる半面、リムプロテクションを犠牲にする。
ロビンソンのスクリーンとロブスレット(アリウープの脅威)は、ボックススコアには表れない形で相手守備を歪めていた。彼がゴールに向かって走り込むだけでヘルプディフェンダーが引き寄せられ、ジェイレン・ブランソンやドンテ・ディヴィンチェンゾのペリメーター(アウトサイド)シュートが活きる。東決勝突破を決めた第4戦で8得点・10リバウンドを記録したオフェンスリバウンドも、ウィングをセンターに据えた布陣では到底再現できない武器だ。
守備面では、彼が控えの時間帯に体を張りファウルを引き受けることで、タウンズは勝負所のクロージングまで体力とファウル数を温存できていた。彼の不在により、タウンズのセンター出場時間はほぼ確実に増加し、ニックスのリバウンド力とインサイド守備は必ず落ち込む。加えて、過去2シーズンにわたって足首の疲労骨折や関連手術で長期離脱を繰り返してきた経緯
が、早期復帰をより慎重にさせる要因となるだろう。
ロビンソン離脱の深刻度は、ウエスタン・カンファレンスの勝者によって天と地の差がある。もし相手がサンアントニオ・スパーズとビクター・ウェンバンヤマなら、セカンドビッグマンの喪失は致命傷となる。高さで劣るスモールボールではウェンバンヤマの異次元のリーチとブロック能力に蹂躙されかねない。タウンズ一人でファウルトラブルを避けながら対抗するのは不可能に近く、セカンドチャンスポイントを防ぎきれずに苦しい決断を強いられるだろう。
一方で、チェット・ホルムグレンを中心にスイッチ多用の超高速バスケを展開するオクラホマシティ・サンダーが相手なら話は変わる。サンダーのスピードとスペーシングは、むしろスイッチが得意なスモールボール守備を自然と促す。このマッチアップでは、タウンズを唯一の大型選手として起用し、アヌノビーらウィングを並べる布陣は「緊急避難」ではなく、「元々あり得た選択肢」ですらある。もちろんリスクは残るが、その深刻度は比較にならないほど小さい。
手術をしない小指の骨折で選手が欠場する期間は一般的に約9日、つまり約3.5試合分だ。もし手術が必要となれば、その期間は約34日(約15.6試合)にまで延びる。ファイナル第1戦は水曜日(日本時間木曜日)に予定されているため、無手術のケースならシリーズ途中での復帰に間に合う可能性は十分にある。ただ、希望的観測だけで戦略を立てるわけにはいかない絶妙なタイミングだ。
さらに、この状況を複雑にするのがロビンソンの契約事情である。彼は今大会終了後に無制限フリーエージェント(FA)となる。そのため選手本人もチームも、長期的なキャリア価値を損なうかもしれない手指の怪我に対し、無理を強いることには慎重にならざるを得ない。
ミッチェル・ロビンソンの右手小指骨折は、ニックスにとって「相手次第で致命傷となる」難題だ。スパーズのような高さのある相手には、そのサイズに対抗する最も有効な手段を根底から奪われた形になる。サンダーのような機動力を武器とする相手なら、痛手ではあるもののマネジメント可能な調整で済む。いずれの道を進むにせよ、シボドーHCはタウンズの負荷を限界まで引き延ばし、フクポルティの起用という賭けに出、東決勝を勝ち抜いた万全のローテーションを再構築するという手腕を試される。ニックスのファイナル制覇の夢は、この緊急事態への適応力と、ロビンソンが戦列に戻れるかどうかに懸かっている。
Comments
0 comments