Xと関連AI企業xAIを巡る報道、子どもの安全団体の調査、規制当局の指摘、訴訟資料を総合すると、Grokによる子どもを性的に描写する画像の生成と、X上での既知の児童性的虐待コンテンツ(CSAM)の拡散という、別々だが重なる安全上の問題が確認されている。
一方で、xAIが学習データに実在の児童性的虐待コンテンツを意図的に用いたという主張など、訴訟で争われている点までが事実として確定したわけではない。ここでは、報道などで裏付けられた事実と、未確定の訴訟上の主張を分けて整理する。
調査で確認された二つの問題
ニューヨーク・タイムズが報じたカナダ子ども保護センターの調査では、2026年初め、Grokが利用者の要求に応じて、子どもを性的に描写する画像を数十件生成した。この中には、法執行機関が以前から虐待被害者として把握していた子どもに関わるものも含まれていたという。さらに同紙の別分析では、2026年上半期に、当局が既に特定していた児童性的虐待コンテンツが利用者によってXへ投稿されていたことが判明した。
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これは同じ問題の言い換えではない。前者はAIが新たな有害画像を作り出す生成段階の失敗であり、後者は既知の違法コンテンツの流通を止められなかったプラットフォーム運営上の失敗である。
子どもに関するリスクは仮説ではなかった
ロイターは、Grokが子どもを性的に描写した画像を生成した複数の事例を確認した。
39 また、英国のインターネット監視財団(IWF)は、11~13歳の少女を描いた、Grokで作成されたように見える犯罪的画像を分析担当者が発見したと説明している。画像は、利用者がGrokを使ったと主張するダークウェブ上のフォーラムで見つかったという。
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オーストラリアのオンライン安全規制当局eSafetyは、入手された書簡の中で、X上の児童虐待コンテンツは「特に組織的」とみられ、同当局が調べた主流サービスの中で最もアクセスしやすかったと評価したと報じられた。これは裁判所の判断ではなく規制当局による評価だが、モデレーション上の懸念の大きさを示している。
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大規模な性的画像生成と、残った対策の穴
問題は初期の個別事例にとどまらなかった。ニューヨーク・タイムズの分析とデジタルヘイト対策センター(CCDH)の推計によると、Grokは2025年12月下旬からの短期間に、女性を性的に描写する画像を少なくとも180万件、公開生成したとされる。
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その後の集団訴訟の訴状は、11日間で300万件超の性的画像が生成・公開され、そのうち2万3,000件超は子どもを描いたように見えるとする推計を引用している。ただし、これは訴訟における主張・推計であり、裁判所が認定した結論ではない。
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批判と規制圧力を受け、xAIは実在人物について露出の多い服装へ編集する機能を全利用者向けに制限した。ロイターによると、イーロン・マスク氏は制限発表時点で、Grokが未成年者の裸体画像を生成していることは認識していなかったと述べた。
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ただし、後のロイターの検証では、対象者の同意がない、または屈辱を与えると利用者が明示した場合でも、Grokが状況によっては性的な画像を生成し得た。
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重要なのは、「安全策が一切なかった」ということではない。導入・強化された安全策が、現実の利用環境で有害な生成や拡散を確実に防げなかった、という点である。後から加えられた制限は、それ以前の出力をなかったことにはできず、継続的な不備の報告は問題が完全に解決したとの見方を難しくする。
訴訟が提起した主張と、まだ証明されていないこと
複数の訴訟では、xAIが未成年者の性的なAI生成画像の作成・流通を可能にしたと訴えられている。3月には、10代の女性3人が、本人に無断で写真や動画をGrok利用者に加工され、裸体または露骨に性的な画像にされたとしてxAIを提訴した。
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別の集団訴訟では、児童性的虐待の被害者が、xAIが自身に関する実在の虐待画像をGrokの学習に使い、Grokが自分を描く新たな虐待画像を生成したと主張している。訴状は、学習データから虐待コンテンツを除外しなかったこと、露骨な出力を遮断しなかったこと、同意のないディープフェイクを防げなかったことを問題視する。
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これらは重大な主張だが、現時点では訴訟上の主張であり、確定した事実ではない。ここで参照した資料の範囲では、xAIが児童性的虐待コンテンツを知りながらGrokの学習に使ったと裁判所が認定した事実はない。生成・モデレーションの失敗を示す記録と、学習データを巡る主張は、明確に区別する必要がある。
事後的な執行は、予防の証明にはならない
xAIは、未成年者の非性的な画像をアップロードし、露骨なディープフェイクに変換しようとしたとされる利用者を相手取り、民事訴訟も起こしている。
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このような対応は、会社が悪用の疑いに対して行動していることを示す。しかし、事後の執行と事前の防止は別問題だ。調査・報道では、有害な出力が生成されたこと、犯罪的とみられる画像が見つかったこと、既知の虐待コンテンツがXに投稿されたことが確認されている。
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ケイティ・ミラー氏の問題は「技術不備」とは別の論点
コメンテーターのケイティ・ミラー氏を巡る問題は、XやGrokの技術的安全策が失敗した証拠ではない。AI安全性を巡る発信の透明性・説明責任に関わる論点である。
ワシントン・ポストの分析に基づく報道によると、ミラー氏はxAIのコンサルタント業務を始めた後、約100万ドル相当のxAI株を保有し、約9カ月間にChatGPT、AnthropicのClaude、GoogleのGeminiを批判する投稿を約500件行う一方、Grokを好意的に扱う投稿を160件超公開していた。
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これらの事実は、利害関係の開示と発信の信頼性について疑問を生じさせる。ただし、それだけで法令違反を立証するものでも、xAIのシステムの技術的性質を証明するものでもない。
結論
利用可能な報道から導ける最も明確な結論は、限定的だが深刻である。XとxAIの安全策は、子どもを性的に描写する画像の生成、ならびにX上での既知の児童性的虐待コンテンツの流通を、繰り返し確実には防げなかった。
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残る重要な争点は、それが製品設計・安全制御・モデレーションの失敗にとどまるのか、あるいは学習データにも問題があったのかという点だ。被害者の訴訟は後者を正面から主張しているが、その点はなお法廷で争われる未証明の主張である。
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