ところがPS5発売の数週間前、ソニーは本作の発売を2021年2月へと急遽延期し、予約購入者には全額返金を実施した。そして2021年2月2日に実際にリリースされた時、当初の69.99ドルという価格は影も形もなく、本作は2ヶ月間、PlayStation Plus加入者向けのフリープレイタイトルとして無料配信されたのだ
。プレミアムな単品販売からサブスクリプション特典への、この土壇場での大転換は、商用タイトルとしての成功に社内でも大きな疑念があったことの証左に他ならない。
同年4月6日にPS Plusの対象から外れると、その後の恒久価格は**19.99ドル(約2,200円)**に設定された。当初の計画から4分の1以下への、ソニーのファーストパーティ作品としては前代未聞の大暴落である。この価格破壊により、本作は誰も買いたがらない有料ゲームと、完全には移行しきれなかった無料プレイモデルの間で、中途半端な状態に取り残されてしまった。Lucid Gamesは2022年に「大規模な変更」を実施し、完全な基本無料化も検討されたが、プレイヤー人口が回復することはなかった
。公式SNSアカウントは2022年を最後に沈黙し、その後は長い「メンテナンスモード」期間を経て、今回の削除に至った
。
サービス終了の進め方は、ライブサービスゲームがいかに簡単に消え去るかを示す冷酷な教訓となった。ソニーは事前告知を一切行わなかった。プレイヤーに最後のダウンロードを促す猶予期間も、別れを惜しむ週末イベントも、PlayStation.Blogでのロードマップ発表も一切なし。プレイヤーは5月26日当日、突然のシステム通知とメールで終了を知らされたのである。
ゲーム内通貨「デストラクションポイント」の販売は即時停止されたが、残高を持つプレイヤーは2026年11月25日までに使い切る必要がある。その日付以降、全てのサーバーサポートが完全に終了する。シングルプレイの「アーケードモード」は、既存ユーザーにとってオフラインのBOT戦として最後まで残るものの、ソニーはサーバー停止により「機能性とプレイヤー体験」に影響が出る可能性があると警告している
。要するに、最先端のオンラインマルチプレイ体験として売り出されたゲームは、最終的に、ネットワーク機能を失ったローカルのソフトウェアの抜け殻へと永久に成り下がったのだ。
『Destruction AllStars』の無念の幕切れは、単独の事件ではない。これは近年のコンソール史において、最も攻撃的で、かつ最も失敗に終わったライブサービスへの大転換の、終わりのピースなのだ。2022年、当時のCEOジム・ライアンは、Bungieの買収を追い風に、2025年度末までに12本のライブサービスゲームをリリースするという計画を発表した。しかし2025年までに、大規模なプロジェクト中止が相次いだ結果、その本数は6本に半減した
。
その犠牲となったプロジェクトは、実に凄惨なリストを成している。
この壮大な戦略の最初の賭け金が『Destruction AllStars』だった。皮肉にも、ライブサービスへのピボットが公式発表される前に市場に送り出されたこのタイトルは、69.99ドルの値札で幕を開け、デジタルの幽霊として5年の実験の幕を閉じたのだ。