東南アジアのスマートフォン市場は、2026年第2四半期(4~6月)に大きな「買いやすさ」のショックに見舞われました。出荷台数は前年同期比23%減の1,930万台。2014年以来、最も少ない四半期出荷台数です。一方で、市場規模は66億ドルと比較的底堅く、平均販売価格(ASP)は31%上昇して342ドルとなりました。
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ただし、これは単純な買い替え需要の回復ではありません。より高価な機種へ移行した消費者もいたものの、100ドル未満の価格帯で失われた台数を上位価格帯がすべて埋めたわけではありません。Omdiaによれば、価格に敏感な消費者の多くは、値上がりを受け入れる代わりに買い替えを先送りするか、購入そのものを見送ったとみられます。
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台数を犠牲に、1台あたりの価格を守る市場へ
2026年第2四半期のデータから浮かび上がるのは、出荷台数と市場価値の大きな隔たりです。端末コストの上昇を受け、メーカーは特に低価格帯で値上げや値引き縮小を進めました。これにより平均販売価格は押し上げられましたが、これまで大幅な値引きで購入できたエントリー機は、以前より手が届きにくくなっています。
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価格帯別の変化は次の通りです。
- 100ドル未満の価格帯は大幅に縮小。 端末の価格が引き上げられたり、製品が取り下げられたり、値引きが弱まったりしました。
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- 100~199ドル帯の構成比は32%から39%へ拡大。 以前は100ドル未満で販売されていた機種が、この価格帯へ移ったことも背景にあります。
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- 200~299ドル帯ではSamsungの存在感が上昇。 同社のシェアは2025年第2四半期の18%から、2026年第2四半期には32%へ拡大しました。
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そのため、市場規模が66億ドルに達したことだけを見て、需要が健全だと判断するのは適切ではありません。より高価な端末が少ない台数でも大きな金額を生み出す一方、最も広い消費者層が利用してきた低価格機の選択肢は減っています。
メーカー各社はどう対応したのか
Samsung:顧客を上位価格帯へ誘導
SamsungはGalaxy A07とA17の発売後に価格を引き上げました。新機種は発売後、時間の経過とともに価格が下がるという従来の傾向とは逆の動きです。その結果、同社の200~299ドル帯におけるシェアは前年同期の18%から32%に上昇しました。
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競合各社が300ドル未満の市場への注力を弱めるなか、Samsungは価格を上げながら市場価値とシェアを守る展開に成功しました。ただし、同社の成果によって市場全体の買いやすさが回復したわけではありません。
Xiaomi:大衆価格帯への依存を縮小
Xiaomiも、最安値帯から距離を置く市場全体の流れに加わりました。2026年第2四半期は平均販売価格が大幅に上昇し、100ドル未満の出荷台数が大きく落ち込んだと報告されています。これは、より高価格な製品を重視するポートフォリオへの移行と整合します。
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1台あたりの売上を高めることは収益性の支えになりますが、値上げに追随できない消費者を完全に取り戻すことはできません。
TRANSSION:エントリー需要への依存が重荷に
InfinixとTecnoを展開するTRANSSIONは、東南アジアで手頃な価格帯への依存度が高いメーカーです。2026年第2四半期には、100ドル未満の出荷台数が47%減少する一方、100~199ドル帯は12%増加しました。新モデルのInfinix Hot 70とTecno Spark 50 4Gも、旧モデルより高い価格で発売されています。
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一部の需要を上位価格帯へ移すことはできましたが、顧客基盤が集中する最安値帯こそ、今回の市場変化による打撃が最も大きい領域でした。
OPPO:最安値帯からほぼ撤退
OPPOの100ドル未満の出荷台数は96%減少し、同社はこの価格帯からほぼ姿を消しました。100~199ドル帯も25%減少しており、上位価格帯への移行で低価格機の減少を補うことはできませんでした。Omdiaは、OPPOについて上位5社のなかで全体の出荷台数減少率が最も大きかったと説明しています。
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需要が落ち込む局面での上位市場シフトにはリスクがあります。価格を上げれば製品単体の採算は改善する可能性がありますが、消費者がついてこなければ、低価格帯の台数と、それを置き換えるはずだった次の価格帯の機会を同時に失うことになります。
vivo:エントリーモデルを100ドル超へ
vivoは、東南アジアの大半の市場でエントリーモデルを100ドル超に引き上げました。100ドル未満の出荷台数は88%減少し、全体に占める比率も前年の32%から、2026年第2四半期には5%まで低下しました。
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vivoも最安値帯を縮小することで、端末1台あたりの価格を高めました。ただし、公開された情報にはvivoの価格帯別の全体的な内訳がないため、同社の販売構成や台数への影響をこれ以上細かく断定することはできません。
なぜ上位価格帯は失われた需要を吸収できなかったのか
100ドル未満の端末を買っていた消費者の一部が、100~199ドル帯へ移ったことは明らかです。しかしOmdiaの分析では、100ドルを超える市場全体の出荷台数も減少しました。つまり、消費者が一斉に高価格機へ買い替えたために低価格帯が縮小したわけではありません。
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考えられるのは、買い替えの先送りと市場からの離脱です。価格が上がったことで、手元のスマートフォンを長く使い続ける人が増え、買い替え自体を見送る人も出ました。値上げは市場の製品構成を変えただけでなく、市場に参加できる消費者の範囲そのものを狭めたのです。
2026年第2四半期の最大のポイントはここにあります。メーカーの価格戦略は1台あたりの価値や利益を守りましたが、同時に、大衆市場の台数を支えていた低価格機と大幅値引きを減らしました。東南アジアのスマホ市場は、出荷1台あたりでは高価になった一方、価格に敏感な消費者にとっては、以前より利用しにくい市場になっています。
調査会社によって減少率には差も
Omdiaは2026年第2四半期の東南アジアの出荷台数について、前年同期比23%減と推計しています。一方、Counterpointは同じ四半期の減少率を15%減としています。これは、各社の出荷推計や市場の定義が異なるためです。
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市場縮小の正確な規模には違いがあるものの、方向性は一致しています。東南アジアのスマートフォン市場は大幅に弱含み、部品・端末コストの上昇が価格を押し上げ、特にエントリー機の需要が大きく落ち込みました。
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メーカーにとっては、当面の優先課題が販売台数よりも収益性と価格維持になりました。消費者にとっては、実質的に安価な端末の選択肢が減り、買い替え時期を先送りせざるを得ない可能性が高まっています。