シンガポール土地管理局(SLA)は、IBMが管理する開発・テスト環境への不正アクセスにより、約7万人分の個人情報が影響を受けたと発表しました。問題のデータセットは1998年にベンダーのテスト用として作成され、模擬データや匿名化された情報を含む想定でしたが、実際には個人を特定できる情報が含まれていました。SLAは、実運用システムは影響を受けていないと説明しています。
2
3
10
どのような情報が含まれていたのか
データセットには、氏名、NRIC番号、当時の不動産住所が含まれていました。NRIC番号は、シンガポールの国民登録身分証に記載される個人識別番号です。
2
4
このデータセットは、不動産の所有権や登記申請に関する記録をもとに、ベンダーの開発・テストに使う目的で作成され、定期的に更新されていました。本来は模擬データと匿名化された情報だけを使う想定だったものの、調査で実際の個人情報が含まれていることが判明しました。
2
4
一方、公開されている報道や当局の説明からは、誰がいつ実データを入れたのか、また匿名化が行われなかった理由は明らかになっていません。データがすべてダウンロードされたのか、その後悪用されたのかについても、確認できる情報は示されていません。
IBMが担っていた業務と、影響を受けた環境
IBMは、SLAの不動産権利登録システム「Singapore Titles Automated Registration System(STARS)」と電子申請システム「eLodgment System(ELS)」の支援・保守を担うベンダーです。また、両システムの開発およびシステム統合テスト環境も管理していました。今回、不正アクセスがあったのは、そのテスト環境に置かれたデータセットです。
3
SLAは、影響を受けた環境は実運用システムから分離されており、STARSとELSの実運用システムに影響はなかったと説明しています。シンガポール法務省も、影響を受けたテスト環境はSLAの実運用システムとは別だったとしています。
4
10
つまり、今回公表されたのは、ベンダーのテスト用データセットに個人情報が含まれていた問題です。不動産の登録業務に使われる実運用システムが侵害されたと報告されているわけではありません。
当局の対応と、まだ確認できないこと
SLAは警察に届け出たうえで、IBM、政府技術庁(GovTech)、シンガポール・サイバーセキュリティ庁と協力して調査を進めていると発表しました。
4
ただし、ここで参照できる情報だけでは、アクセス権の停止がいつ、どのように行われたのか、対象者への個別通知や個人情報保護委員会への報告があったのかは確認できません。これらの対応を、報道で確認済みの事実として扱うことはできません。