台湾の**智慧財産・商業裁判所(Intellectual Property and Commercial Court)**は、陳被告がTSMCの機密データを不正に取得・利用したと認定した。
問題となったのは、TSMCが開発している2nmプロセスに関する技術情報。これはAI向けプロセッサやスマートフォン、次世代コンピューティングに使われる超高性能チップの製造に不可欠な最先端技術とされる。
この事件は、TSMCの内部セキュリティシステムが不審なデータアクセスを検知したことがきっかけで発覚した。
裁判所は、複数の技術者が関与したとして計5人に判決を言い渡した。
台湾で半導体関連の技術スパイにこれほど重い刑罰が科された例は少なく、過去でも最も厳しい部類の判決と報じられている。
今回の事件は単なる企業の営業秘密侵害ではなく、台湾の国家安全法の下で起訴された点が大きな特徴だ。
台湾政府は、先端半導体技術を「国家核心重要技術」と位置付けており、国外への不正流出は国家利益に直結する問題とみなしている。
この事件は、台湾で初めて国家安全法を使って先端半導体技術の窃取を処罰したケースとなった。
TSMCは世界最大の半導体ファウンドリで、AIチップやスマートフォン用プロセッサなど、世界のテクノロジー産業の中核を支える企業である。
個人の刑事責任とは別に、裁判所は**東京エレクトロン台湾(Tokyo Electron Taiwan Ltd.)**にも金銭的な制裁を科した。
事件で有罪となった人物が同社の台湾拠点と関係していたため、法人としての責任が問われたとされる。ただし東京エレクトロンは、社内調査で組織的関与の証拠は見つからなかったと説明している。
公開情報から分かる主な経緯は以下の通り。
なお、スパイ行為がどれほどの期間続いていたのかは、公開された裁判資料では明確にされていない。
台湾の司法制度では、被告は上級審に控訴することが可能である。
今回の判決についても、控訴が可能であり最終確定ではないと報じられている。
ただし、被告側がどのような法的理由で控訴する予定なのかなど、具体的な争点は公表されていない。
この事件は、半導体産業の競争が次の段階に入ったことを象徴している。
世界最先端の半導体製造拠点を持つ台湾にとって、この判決は「コア技術の流出には厳罰で臨む」という強いメッセージとも受け止められている。