8月28日前後の暗号資産デリバティブ市場では、弱気に傾いていたトレーダーのポジションが一斉に巻き戻される、比較的小規模なショートスクイーズが起きたと考えられます。
CryptoRankによると、直前の24時間における暗号資産先物の清算額は約2億9,500万ドル。内訳は、ビットコイン(BTC)が1億3,072万ドル、イーサリアム(ETH)が1億2,717万ドル、ソラナ(SOL)が3,785万ドルでした。ショートポジションの割合は、BTCで71.77%、ETHで61.68%、SOLで**79.98%**に達しています。
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ショートの清算では、下落を見込んで売っていたポジションを強制的に閉じるため、通常は対象資産を買い戻すことになります。清算が一定規模に達すると、その強制的な買いが価格をさらに押し上げ、次の清算水準にあるショートを巻き込むことがあります。
つまり、価格上昇がショート清算を誘発し、清算に伴う買いがさらなる上昇を生む――という循環です。今回のデータは、8月28日の上昇圧力にデリバティブ市場のポジション調整が大きく関わった可能性を示しています。
CryptoRankとMyTokenで総額が異なる理由
一方、別の8月28日時点のスナップショットで、MyTokenのデータを引用した報道は、暗号資産先物の清算総額を3億1,300万ドルとしています。資産別では、BTCが8,851万ドル、ETHが1億500万ドル、SOLが3,291万ドル、XRPが857万ドルでした。
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両社の総額には約1,800万ドル、割合にしておよそ6%の差があります。主要銘柄の数字を比べると、次のようになります。
- ビットコイン: CryptoRankは1億3,072万ドル、MyTokenは8,851万ドル
- イーサリアム: CryptoRankは1億2,717万ドル、MyTokenは1億500万ドル
- ソラナ: CryptoRankは3,785万ドル、MyTokenは3,291万ドル
この違いだけで、どちらか一方が誤っているとは判断できません。24時間の清算額は、対象とする取引所、無期限先物や期日付き先物などの対象商品、集計の締め時刻、タイムゾーン、通貨換算に使う価格、部分清算や報告遅延の扱いによって変わります。
暗号資産の清算額は、特定の方法で集計された推計値です。市場全体のすべての強制決済を監査した確定値ではありません。CoinMarketCapも、清算を「トレーダーが取引所の証拠金要件を満たせなくなった際、レバレッジポジションが強制的に閉じられること」と説明しています。
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8月19〜20日の大規模スクイーズとのつながり
8月28日の動きは、8月19〜20日に発生した、より大規模なデリバティブ市場のショックの後に起きました。CoinGlassのデータを引用した報道では、この2日間に暗号資産市場全体で清算されたショートが31億ドル超に達し、そのうちビットコインが約16億5,000万ドルを占めたとされています。
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また、別の市場報道では、24時間の清算総額を約33億ドル、そのうちショートが約92%とする推計も示されました。
10この大規模な巻き戻しのなかで、ビットコインは48時間足らずで約20%上昇したと報じられています。
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8月28日の約2億9,500万ドルは、8月19〜20日の規模には遠く及びません。しかし、構図は共通しています。弱気ポジションが積み上がった市場で価格が上向き、清算水準を超えると、レバレッジが値動きを増幅させるという構図です。
米国債買い戻しはきっかけ、清算が上昇を加速
8月の上昇の初動には、米財務省が長期債の買い戻しオペレーションについて、1回あたりの上限を20億ドルから40億ドルへ少なくとも倍増する方針を示したことも重なりました。発表後、ビットコインはおよそ6万8,000ドルを上回り、その後の報道では上昇が8万ドル近辺、またはそれ以上へ伸びたとされています。
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ここでは、材料を「きっかけ」と「加速要因」に分けて考える必要があります。米財務省の買い戻し方針は、マクロ環境や流動性への見方を変え、ビットコインが上値を試すきっかけになった可能性があります。価格が重要な水準を突破した後は、弱気の先物ポジションが強制的に買い戻され、上昇が加速しました。
ただし、清算データだけで、上昇のうちどれだけが現物の買い、暗号資産上場投資商品(ETF)の資金流入、マクロ投資家のポジション、デリバティブ取引によるものだったかを確定することはできません。
無期限先物で清算が連鎖する仕組み
無期限先物では、トレーダーは差し入れた証拠金を上回る規模のポジションを保有できます。レバレッジが高いほど、わずかな価格変動で清算水準に達しやすくなります。
たとえば100倍レバレッジでは、手数料や資金調達料、スリッページを考慮しなくても、反対方向におよそ1%動くだけで証拠金の大部分が失われる可能性があります。
この仕組みは下落局面でも同じです。レバレッジをかけたロングが清算されると、取引所はポジションを強制的に売却します。その売りが下落を深め、さらに多くのロング清算を引き起こすことがあります。
8月の相場は、清算連鎖が一方向だけの現象ではないことも示しました。先の上昇局面ではショート清算が中心となった一方、上昇後の押し目では、高値圏でロングを建てたトレーダーが逆に損失を被りました。ビットコインが7万8,000ドルを下回った際には、約3億2,400万ドルが清算され、その大半をロングポジションが占めたと報じられています。
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個人投資家にとっての注意点は、相場観が中長期では正しくても、ポジションが数分で清算される可能性があることです。損切りの設定、ポジションサイズの縮小、低いレバレッジの利用は市場リスクをなくしませんが、一時的な急騰・急落で取引が強制終了する可能性を下げる助けになります。
2億9,500万ドルの数字から読み取れること
8月28日のデータが示すのは、短期的な値動きにおいてポジションの偏りとレバレッジが重要な役割を果たしたということです。BTC、ETH、SOLでショート清算が優勢だったことから、上昇局面で弱気ポジションが裏目に出たことがうかがえます。
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一方、清算額には2億9,500万ドルと3億1,300万ドルという差があるため、単一のスナップショットを絶対的な数字として扱うべきではありません。強制的な買い戻しが一巡した後、価格を支えるのは現物市場の実需、流動性、そしてマクロ環境です。
ショートスクイーズは相場を急速に押し上げることがあります。しかし、それだけで上昇トレンドが長く続くと証明されたわけではありません。