マスク側はこの裁判を、**「信頼と慈善目的が裏切られた問題」**だと位置付けている。
一方、OpenAIとMicrosoftは全く異なるストーリーを提示した。
彼らの主張の中心は「この訴訟は支配権争いの結果」というものだ。
またOpenAI側は、マスクの寄付に**「純粋な非営利を維持するという法的拘束力のある条件は存在しない」**とも主張している。
最終弁論では、争点は主に次の4つに整理された。
1. 信頼性(Credibility)
マスク側はアルトマンの証言を信用できないと主張。OpenAI側は逆に、マスク自身の発言や立場が一貫していないと反論した。
2. 支配権(Control)
マスクはOpenAIがMicrosoftなど企業の利益に取り込まれたと主張。対してOpenAIは、むしろマスク自身が組織の支配を求めていたと指摘した。
3. 安全性と使命(Safety & Mission)
マスクは安全性重視の非営利理念が放棄されたと主張。OpenAIは、大規模投資こそが安全なAI開発を可能にするとの立場を示した。
4. 投資家利益(Investor Enrichment)
マスクは経営陣や投資家が営利化で利益を得たと批判。OpenAIは、構造は研究資金確保のためであり不当な利益目的ではないと否定した。
さらにOpenAI側は、マスクがOpenAIを離れてから何年も経って訴訟を起こした点も信頼性を損なうと指摘した。
マスクは金銭的な補償だけでなく、OpenAIの組織構造にも踏み込んだ変更を求めている。
報道や訴状によると、主な要求は以下の通り。
また一部の書類では、賠償金はマスク個人ではなくOpenAIの非営利部門に渡す可能性も示されている。
派手な主張とは裏腹に、陪審団の判断範囲は比較的限定されている。
主に問われるのは次のような点だ。
もし責任が認められた場合、具体的な救済措置は後に裁判所が決定する可能性がある。
最終弁論が終わり、9人の陪審団は非公開で評議を開始している。判決には全員一致が必要とされる。
結果によっては次のような影響が出る可能性がある。
かつて同じ創業者だったマスクとOpenAI経営陣の対立は、いまやAI産業の将来を左右する法廷闘争へと発展している。そして最終的な判断は、今まさに陪審団の手に委ねられている。