10時間後の結果は次の通り。
差は192個。割合にすると**約1.5%**の差で、人間の勝利だった。
物流現場ではわずかな処理速度の差が全体の生産性に影響するため、この小さな差は決して軽視できない。しかし同時に、ロボットがここまで接近していることも注目された。
この対決で興味深かったのは「持久力」の違いだ。
それでも最終的には人間がわずかに上回った。
ただし、企業がロボットに期待している最大の利点はここにある。ロボットは理論上、疲労せずに長時間働き続けられるからだ。
実際、Figure AIは別のデモでヒューマノイドが24時間以上連続で仕分け作業を行い、数万個の荷物を処理した様子も公開している。
対決後、Figure AIの創業者兼CEO ブレット・アドコックは、この結果を「敗北」とは見ていないと説明した。
彼によると、倉庫の仕分け作業では人間の平均処理速度は1個あたり約3秒程度とされる。F.03の速度はそれよりわずかに速い水準に近づいており、特定の作業では**「human parity(人間並み)」に到達しつつある**という。
つまり、ピーク性能では人間が速い場合があっても、平均的な作業ペースではロボットがほぼ同じ水準に入ってきたという見方だ。
このイベントが話題になった理由は、ロボットと人間を同じ条件で定量的に比較した例が珍しいためだ。
そこから見えてきたポイントは主に3つある。
1個あたり約3秒というペースは、多くの倉庫作業の実務レベルに近い。今回の結果は、ロボットの認識・把持・動作制御が大きく進歩していることを示唆している。
人間が勝ったとはいえ、ロボットは休まず働ける。複数シフトをまたいで連続稼働できれば、総処理量では有利になる可能性がある。
専門家は、この種のデモは条件が厳密に管理されている点を指摘する。実際の物流センターでは、荷物の形状やトラブル、人との協働、安全管理など、より複雑な状況に対応する必要がある。
今回のライブ配信が示したのは「ロボットが人間を完全に置き換える時代が来た」という証明ではない。
しかし少なくとも、ヒューマノイドロボットが特定の単純作業では人間にかなり近い速度で働ける段階に到達していることは明らかになった。
F.03は制御された仕分け作業ではほぼ人間並みの性能に近づいている。ただし、実際の物流現場で安定して稼働できるか、コスト面で成立するかは、まだ検証が必要だ。
それでも今回の実験が示したのは一つ。
人間とロボットの差は、想像よりもずっと小さくなりつつある。