被害は首都だけにとどまらなかった。北東部ハルキウでは、15機のドローンと2発のミサイルによる複合攻撃で行政庁舎や住宅が被害を受け、子どもを含む10人が負傷した。その後の暫定報告では、負傷者は14人に上る可能性があるとされた
。中部の工業都市ドニプロの被害は特に深刻で、集合住宅が破壊された。さらに、消防副所長のアントン・ヤルモレンコ大佐が、最初の攻撃に対応中、同じ場所を狙った二度目の攻撃(ダブルタップ)により殉職した
。イーホル・クルィメンコ内相は、民間インフラへの被害が最も広範囲に及んだのはキーウ、ドニプロ、ハルキウの3都市だと述べた
。
この攻撃は決して不意打ちではなかった。ロシア当局は数週間前から、異例なほど具体的に意図を予告していた。2026年5月25日、ロシア外務省は、キーウの意思決定中枢や軍事関連施設を標的とした**「組織的」な一連の攻撃**を開始すると公に発表した。翌5月26日には、ロシア当局が全ての外国人に対しウクライナ首都からの退避を勧告した
。クレムリンは、ウクライナが妥協に応じない姿勢を非難し、キーウの長距離攻撃計画や戦勝記念日(5月9日)の短期停戦後の停戦違反疑惑への報復として、このエスカレーションを正当化した
。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、6月1日遅くになっても、大規模な攻撃が準備されているという諜報警告は引き続き有効であると確認していた
。
6月2日の一斉攻撃の直前には、かなりの規模のドローン攻撃があった。5月31日夜から6月1日にかけて、ロシアはクルスク、オリョール、占領下のクリミアなど複数地点から265機の攻撃型ドローンを発射し、翌日の大規模複合攻撃への布石を打った。
国際社会の反応は迅速な非難で一致した。欧州の首脳らはこの攻撃を、民間人を意図的に標的とし、和平努力を妨害しようとする冷笑的な行為だと断じ、ウクライナへの軍事支援を継続・拡大することを誓った。キーウ駐在の欧州連合(EU)代表部代表カタリナ・マテルノヴァ氏は、ロシアによる外国人退避勧告を「パニックを広めようとする試み」と一蹴し、EUは「どこにも行かない」と表明した
。アンドリー・シビハ外相は同盟国に対し、「ロシアの脅迫」に屈しないよう求めた
。
ゼレンスキー大統領の即時対応は防空に集中した。大統領は欧州に対し、独自の弾道弾迎撃防衛システムの開発を呼びかけるとともに、米国によるパトリオットミサイルシステム供給の支援が「絶対に必要だ」と強調した。この訴えは、激化するロシアの空爆に対抗するため、前週にドナルド・トランプ米大統領と米議会にパトリオットシステムの追加供与を要請した書簡の内容を反映したものだった
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