ウクライナ空軍は、この6月11日の攻撃で飛来した221機のドローンのうち、195機の撃墜に成功したと発表した。迎撃率は約88.2%という高い数字だ 。迎撃は同国北部、南部、東部の広範囲で行われたが、2発の弾道ミサイルと21機の攻撃型ドローンは防御をすり抜けて標的に到達した
。
この高い阻止率は、ウクライナ防空部隊がここ数カ月間、一貫して示している実力の証左と言える。2026年5月だけで、ロシアは月間最多となる8,150機のシャヘド型ドローンを発射。対するウクライナは7,476機(約91.7%)を迎撃しており、月間の大規模攻撃に対する総合迎撃率は90.75%に達していた
。イギリスのシンクタンク「王立防衛安全保障研究所(RUSI)」や米国の「戦略国際問題研究所(CSIS)」のアナリストも、一貫して約90%という高い迎撃率を維持している点を評価している
。
しかし、この数字には明確な「弱点」が隠されている。標的の高度や速度によって、迎撃の成否は大きく変わるのだ。より低速なプロペラ推進のドローン群に対しては極めて有効性が高いものの、6月1〜2日の大規模攻撃に関する詳細な分析では、イスカンデルのような弾道ミサイルや極超音速ミサイルなどの「高高度脅威」に対する迎撃率は26.8%にまで急落した 。この差こそが、ロシアが次に狙う戦術変更の動機となっている。
プロペラ型のシャヘドと何が違うのか。これら「ターボジェット型無人航空機(UAV)」ははるかに高速であり、既存の迎撃網を突破する確率が格段に高い 。ロシアは既に新世代のジェット推進型ドローンの配備を始めており、ある機種は航続距離が1,000kmに達し、搭載する弾頭も大幅に大型化していると分析されている
。
この技術革新は、ウクライナの防空戦術の成功への直接的な対抗策だ。シルスキー総司令官は、現在撃破されるシャヘドやゲラン・ドローンのほとんどは、ウクライナの迎撃ドローンによるものだと説明する。事実、5月だけで3層の防空網により3,500機以上の敵UAVが撃墜されている 。より高価で高速なジェット推進型ドローンへの移行は、ウクライナが構築した多層防御を打ち破ろうとする、モスクワの新たな打開策なのである。
モスクワのセルゲイ・ソビャーニン市長は、この夜だけで少なくとも15機のウクライナ製ドローンが首都へ向かう途中で迎撃され、死傷者や被害はなかったと発表した 。だが、ロシア国防省の発表はさらに大規模で、この夜にロシア領内で破壊したウクライナのドローンは、合計330機に上ったと主張している
。
これは一過性の出来事ではない。前夜の6月10日には、連続3日目となる攻撃で少なくとも22機がモスクワ上空で迎撃されていた 。5月には、モスクワへ向かうウクライナのドローンを少なくとも329機撃墜したとソビャーニン市長が発表しており、これは月間で戦争開始以来2番目に多い数だった
。キーウ(ウクライナの首都キエフ)とモスクワの双方が日常的に空襲の脅威にさらされるという、消耗戦の新たな現実が、ここに定着しつつある。
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