さらに、この実験では人間との直接対決も行われました。結果は意外にも、人間がわずかな差で勝利。しかし、その差は驚くほど小さいものでした。
この実験は、単なるデモではなく「耐久テスト」として設計されました。目的は、ヒューマノイドが次の条件を満たせるかどうかです。
・長時間の連続稼働
・人間並みの作業速度
・遠隔操作なしの自律作業
公開されたライブ配信を含む報告によると、主な結果は次の通りです。
一部報道では 249,558個、別の報道では 249,560個 とされており、「約25万個」という数値が広く引用されています。
ただし、別の報告では 14万9,000個以上 とする数字もあり、ライブ配信中の集計方法の違いなどから総数には多少のばらつきがあります。
それでも重要なのは、ロボットが 1週間近く倉庫作業を継続し、しかも遠隔操作なしで稼働したという点です。
この実験で注目されたのは「処理速度」です。
Figure AIは、同社のロボットが 1個あたり3秒未満で荷物を処理できると説明しており、これは一般的な倉庫作業員の平均速度とほぼ同じだとされています。
実際の作業は次のような流れです。
箱、封筒、ポリ袋など形状の違う荷物を扱いながら 約3秒/個のペースを維持できることは、短時間のデモではなく 実運用レベルのスループットに近づいていることを示します。
この性能の鍵を握るのが、Figure AIが開発した Helix‑02 というAIシステムです。
Helix‑02は Vision‑Language‑Action(VLA)モデル と呼ばれるタイプのAIで、以下を1つのニューラルネットワークに統合しています。
つまり、カメラの画像入力からロボットの腕や体の動きまでを 単一の学習モデルが直接制御します。
Figureはこの仕組みを「pixels-to-actions(画像から直接行動へ)」と表現しています。これによりロボットは未知の荷物でも扱い方を調整でき、箱・封筒・柔らかい袋などを適切に持ち替えて処理できます。
実験のハイライトは、ロボットと人間を直接比較した 10時間の「Man vs. Machine」対決でした。
参加したのは、Figureのインターン Aime とF.03ロボット。両者は同じ作業を担当しました。
最終結果は次の通りです。
人間が **192個差(約1.3%)**で勝利しました。
つまりロボットはほぼ同じペースで作業したものの、わずかな差で人間に及びませんでした。
ヒューマノイドロボットのデモはこれまでもありましたが、多くは数分から数時間程度でした。
今回の実験が注目される理由は主に3つあります。
1. 長時間の耐久性
約200時間の連続稼働は、実際の物流現場に近い条件です。
2. 人間に近い処理速度
約3秒/個という速度は、単純作業では人間の生産性にかなり近づいています。
3. 自律動作
ロボットは遠隔操作ではなくAIによって自律的に作業しました。
これらは、ヒューマノイドが研究段階から 実際の産業用途へ近づいている可能性を示しています。
今回の成果の多くは Figure自身が行った実験とデモに基づくもので、独立した大規模導入のデータではありません。
つまり、この結果は
という証明ではなく、
と見るのが妥当でしょう。
それでも、10時間対決での差は わずか0.04秒/個でした。ヒューマノイドと人間の差は、もはや桁違いではなく ほんの数秒の世界にまで縮まっています。
今回の勝者は人間でしたが、物流現場での競争はまだ始まったばかりなのかもしれません。