朱雀3号が示したのは、それとは異なる考え方です。回収船やネットに頼るのではなく、LandSpaceの商用ロケットはエンジンによる減速・姿勢制御を行い、固体の地面に着陸脚で立つ方式を採用しました。
この2つのミッションによって、中国では少なくとも2種類の再使用ロケット回収方式が試みられていることになります。ひとつは長征10号Bの「海上ネット回収」、もうひとつは朱雀3号の「陸上垂直着陸」です。
朱雀3号は、LandSpaceが開発する再使用型の商用軌道ロケットです。狙いは、1回の打ち上げでロケットを廃棄するのではなく、第1段を回収して再利用することで、打ち上げに必要なハードウェアの廃棄量を減らし、より高い打ち上げ頻度を実現することにあります。
第1段には、エンジンのほか、飛行中の姿勢や降下を制御するシステム、展開式の着陸脚などが備えられています。今回の着陸は、機体が軌道級の飛行に耐え、必要な降下・着陸マヌーバーを実行できたことを示しました。
ただし、着陸に成功したことだけで、すぐに再打ち上げできることや、短期間・低コストで再使用できることまで証明されたわけではありません。回収された機体を詳しく点検し、どの程度の整備や部品交換が必要なのかを確認する工程が残っています。
軌道飛行を終えた第1段を無傷に近い状態で回収することは、再使用型ロケットの運用に向けた重要な前提条件です。しかし、それは日常的な再使用や経済性を証明することとは別の段階です。今後は、回収機の点検、整備、再飛行を安全に実施できるかが焦点になります。
その点を踏まえても、朱雀3号Y2の成果は中国の商用宇宙開発における大きな転換点です。LandSpaceは、単なる回収実験にとどまらず、衛星を軌道へ届ける実際の軌道ミッションで、第1段の陸上回収を成功させました。