会談の場で、メキシコ政府はBTSに「ディスティングイッシュト・ビジターズ」(Visitantes Distinguidos、名誉賓客)の称号を正式に授与し、記念の盾を贈呈した 。盾には、BTSが「音楽を通じてメキシコの若者を鼓舞し、敬意、共感、多様性、平和の文化に根ざしたコミュニティの構築に貢献した」ことを称える文言が刻まれている
。この名誉は他の国際的な要人にも授与されてきたが、K-POPグループに贈られること、そしてディエゴ・リベラの壁画を背にした国立宮殿で授与式が行われたこと自体が、この訪問のもつ文化的な重みを如実に示していた
。
5月6日の朝、シェインバウム大統領は定例の「マニャネラ」記者会見の場で、その日のうちにBTSが国立宮殿の中央バルコニーに姿を見せるという驚きの発表を行った 。このニュースは瞬く間に広がった。午後遅くまでには、推定5万人のARMY が歴史的なソカロ広場を埋め尽くした。多くは紫色の服を着て、スローガンやペンライトを手にしていた
。
7人のメンバーがシェインバウム大統領と並んでバルコニーに姿を現した瞬間、広場を揺るがす歓声は数ブロック先のテレビ中継でも確認できたほどだった。RMはスペイン語で「I love you, I adore you. Thank you very much!」と挨拶し 、Vも英語とスペイン語を織り交ぜながら、この歓迎への感謝の気持ちを伝えた
。通常は政治集会や国家的な祝典のために取っておかれる広場で、国家元首がポップスターに囲まれて手を振る光景は、多くのメディアが「まるで国賓を迎えたかのようだ」
と評した象徴的な瞬間となった。
翌朝5月7日、シェインバウム大統領は記者会見の冒頭で一枚のビデオを再生した。それは国立宮殿内で撮影されたもので、大統領が7人のメンバーにスペイン語で「来年もメキシコに来てくれますか?」と尋ねると、メンバーは元気よく「¡Sí!(はい!)」と答えるという内容だった 。そして彼女は公にこう宣言したのだ。「BTSが2027年にメキシコに戻ってきます」
。 正確な日程は未定だが、「ARMYの皆さんからの強い要望」を伝えるかたちで引き出されたこの確約は
、メキシコのARMYにとって、待望の再会が具体的な日付へと近づいた瞬間であった。
今回の宮殿訪問は、「アリラン」ワールドツアーの一環として、5月7日、9日、10日にエスタディオGNPセグロスで行われた3日間のソールドアウト公演の前触れだった 。販売されたチケットの総数は13万6000枚に達し、そのうち13万5000枚以上が発売開始から数分で完売したと伝えられている
。BTSにとって9年ぶりとなるこのメキシコ公演は、シェインバウム大統領がこの訪問を国家的な若者支援の問題として扱った理由を、熱狂的なスタジアムの光景で裏付けることになった
。
それから3週間後の5月27日、BTSは公式YouTubeチャンネル「BANGTANTV」に「BTS Visits Mexico’s National Palace」と題した舞台裏映像を公開した 。その映像には、宮殿の廊下を歩く初々しい姿や、「Visitantes Distinguidos」と書かれた盾をスペイン語で声に出して読む様子、開ければすぐにソカロ広場へと続く扉の隙間から、自分たちを待つ群衆の規模を初めて目の当たりにして驚く瞬間など、これまで公開されていなかった素顔のやりとりが収められている
。この映像は、報道写真では捉えきれなかった率直で飾らない瞬間を求めるファンにとって、まさに必見の内容となった
。
一連のメキシコシティ訪問は、単なるツアーの一通過点ではなかった。それは、大統領による書簡外交、突発的なファンの自発的動員、公式な国家の栄誉、そして具体的な再来日の約束を、わずか24時間のうちに凝縮してみせた。2026年5月6〜7日の出来事は、ARMYにとって、BTSが単なるチャートのトップを行くアーティストの枠を超え、国家元首から名誉賓客として迎えられ、ソカロ広場を真っ紫に染め上げる存在であることの紛れもない証明となったのである。
Comments
0 comments