主演はセバスチャン・スタンとレナーテ・レインスヴェ。ルーマニア系の夫婦がノルウェーの小さな村に移住したことをきっかけに、地域社会や制度と衝突していく姿を描いている。
物語の舞台は、切り立った山に囲まれたノルウェーのフィヨルド地帯。ルーマニアから移住してきたゲオルギウ一家は、妻の故郷の村で新しい生活を始める。
しかし、家庭でのしつけを巡って事態は急展開する。子どもの体にあざがあることを教師が発見し、ノルウェーの児童保護機関が介入。家族の宗教的・伝統的な教育方針が問題視され、地域社会を巻き込んだ議論へと発展していく。
映画は、進歩的な社会制度と保守的・宗教的価値観の衝突というテーマを通して、現代ヨーロッパの文化的対立を鋭く描いている。
Fjord は映画祭の中でも特に注目された作品のひとつだった。ワールドプレミア上映では約12分間のスタンディングオベーションが起こり、2026年のカンヌで最も熱い反応のひとつと報じられている。
俳優陣の演技と緊張感のあるドラマ構成が高く評価され、最終的に最高賞に選ばれた。
メインコンペティションの審査委員長は韓国の映画監督パク・チャヌクが務めた。
主な受賞作は次の通り。
今年はヨーロッパの作家性の強い監督たちが多く受賞し、政治や社会をテーマにした作品が目立った。
授賞式前から、今年のコンペは**「本命が見えないオープンレース」**と報じられていた。多くの作品が一定の評価を受けたものの、例年のような圧倒的話題作は少なかったという声もあった。
もう一つの特徴は、ハリウッド大作の参加が少なかったこと。主要スタジオの新作プレミアが少なく、映画祭の注目は国際映画やインディペンデント作品により集中した。
映画祭では長年の功績を称える名誉パルム・ドールも授与された。受賞者にはピーター・ジャクソン、ジョン・トラボルタ、バーブラ・ストライサンドが含まれる。
ストライサンドは膝のけがの回復中だったため、医師の助言により閉会式には出席できなかったと報じられた。
大きなセンセーションは少なかったものの、第79回カンヌ国際映画祭は国際的な作家映画の力を改めて示した年となった。文化的対立という重いテーマを描いたムンジウの Fjord は、その象徴的な作品として最高賞に輝き、世界の映画祭の中心としてのカンヌの役割を再確認させる結果となった。