PTAは、飲料ボトルや食品容器、ポリエステル繊維の原料となるポリエチレンテレフタレート(PET)を製造するための重要な中間原料です。EU域内のPET市場は2026年時点で約615万トンと推定されており、2025年には全世界のPTA需要の約**64.35%**をPETが占めていました。
| 対象国 | 税率の範囲 | 備考 |
|---|---|---|
| 韓国 | 6.1%~13.3% | 企業ごとに税率が異なる |
| メキシコ | 24.1% | 全メキシコ輸出企業に一律の税率 |
これらの税率はEU実施規則(EU)2026/801に基づき設定されました。暫定関税は2026年4月9日に発動、確定関税は同年8月10日に官報掲載されています。
提訴を行ったのは、ベルギー、ポーランド、スペインなどに生産拠点を持つEU域内のPTAメーカーを代表するイネオス・アロマティクスです。EU委員会は2025年8月13日に調査を開始し、調査対象期間は2024年7月1日から2025年6月30日までとされました。
EU委員会の調査では、韓国とメキシコからのPTA輸入が不当に安い価格(ダンピング)でEU域内に流入し、EU域内産業に実質的な損害を与えていると結論づけられました。具体的な判断材料は以下の通りです。
本措置を講じなければ、この損害は継続・悪化すると判断されました。
今回のPTAに対するアンチダンピング措置は、2026年にEUが特に化学分野で相次いで打ち出している通商防衛策の一環です。2026年3月~8月までに発動された主な化学関連の措置は以下の通りです。
MLexの分析によれば、2026年半ば時点でEU委員会は中国製品のみを対象にしたアンチダンピング調査を既に7件開始しており、このペースは前年の数字を上回るとみられています。これらの化学物質への関税の中では、**米国からのBDO輸入に対する142.5%**が最高率となりました。一連の動きは、世界的な石化部門の供給過剰を背景に、EUが不当に安い輸入品から域内の化学メーカーを保護する戦略を強めていることを示しています。