SIMD-0553は、Solanaの現在の一律5,000ランポート/署名の手数料を、二部構成に置き換える提案だ。ブロックリーダーに支払われる固定の2,500ランポート「インクルージョンフィー」と、トランザクションが要求するコストユニット(計算資源)に応じて変動し、全額が焼却される「リソースフィー」で構成される。 このリソースフィーのレートは3段階のフィーチャーゲートを経て、最終的にはコストユニットあたり1/2ランポートとなる。
現在のネットワークアクティビティレベルで試算すると、1日あたりのSOLバーン量は現在の約650 SOL(約47,000ドル相当)から、7,500~9,000 SOL(約650,000ドル相当)へと、なんと12~14倍に増加する。 この変更により、軽いトランザクションは安くなり、計算資源を多く消費する重いトランザクションはより多くの手数料を支払うことになる。
この提案の作者は、Temporalの開発者「cavemanloverboy」で、彼は以前Solanaメインネットで10万TPSのストレステストを実行したことでも知られている。
SIMD-0550は、Solanaの年間ディスインフレ率(インフレ率の逓減率)を現在の15%から30%に倍増する提案だ。 これにより、目標とする最終インフレ率1.5%に到達する時期が、現在のスケジュールである2032年から2029年に前倒しされる。
この変更により、将来発行されるはずだったSOLが約1,890万SOL分削減される見込みだ。 提案の作者は、Heliusのエンジニアである「lostintime101」と「0xIchigo」。
二つのSIMDは「SGP-0003」(シグナリング・ガバナンス・プロポーザル3)という単一のガバナンス投票にまとめられている。
EIP-8361は、「テーパード・イシュアンス・バーン(Tapered Issuance Burn)」と呼ばれる提案で、2026年8月4日にEthereum Foundationのジャスティン・ドレイクを含む6人の研究者によって発表された。 この提案は、各エポックの境界で、すべてのバリデータの理想的なデューティ報酬の一部を差し引き、焼却する仕組みだ。 焼却率はステーキング比率(ステークされたETHの総供給量に対する割合)に応じて上昇し、ETH供給量の約50%(約6,025万ETH)がステークされた時点で、コンセンサスレイヤー(CL)の発行が実質ゼロになる。
重要なのは、この提案が対象とするのはコンセンサスレイヤー(CL)の発行のみであり、実行レイヤーのチップやMEV(最大抽出価値)は対象外であることだ。つまり、名目上の発行がゼロになっても、ステーカーはこれらの収入源から利益を得ることができる。
現状: これは議論のために公開されたドラフトEIPであり、正式なバリデータ投票は予定されていない。Galaxy Researchの報告によれば、初期の投票動向調査では99.77%のバリデータが反対しており、現在の形での採択は極めて困難と見られている。
Galaxy Researchのバイスプレジデント、ルーカス・チェヤン氏は、2026年8月7日~8日付の分析で、供給サイドの調整だけではETHやSOLの価格を意味のある形で変えることはできないと論じている。 主な論点は以下の通り。
| 特徴 | Solana SIMD-0553 | Solana SIMD-0550 | Ethereum EIP-8361 |
|---|---|---|---|
| メカニズム | リソースベースの手数料、全額バーン | ディスインフレ率の倍増(15%→30%) | CLバリデータ報酬の焼却率をステーキング比率に応じて上昇 |
| 供給への影響 | 日次バーン量が約14倍に(650→9,000 SOL) | 最終インフレ率1.5%到達を2032年から2029年に前倒し | ステーキング率約50%でCL発行が実質ゼロに |
| 現状 | 正式投票中(8月5日に15%閾値を突破) | 同上(SIMD-0553と同一投票) | ドラフトEIP、正式投票は未実施。99.77%のバリデータが反対 |
| 投票期限 | ~2026年8月18日 | ~2026年8月18日 | 未設定 |
| 主要な支持者 | Helius、Blueshift、Temporal | Helius、Blueshift、Temporal | ジャスティン・ドレイク+5人の研究者。バリデータの支持は極めて低い。 |
両チェーンは、大規模な供給サイドの調整を試みている。Solanaの提案はガバナンスプロセスがより進んでおり、正式投票が行われている。EthereumのEIP-8361は、圧倒的なバリデータ反対に直面しているドラフト段階だ。Galaxy Researchの分析によれば、どちらのチェーンの供給サイド対策も、本質的な制約である「本当のユーザー需要がブロックスペースに対するセキュリティ予算をインフレに頼らずに維持できるか」という問いに答えていない。 供給削減は限界的な効果をもたらすが、有機的な手数料収入の成長に取って代わるものではない。