債券利回りが上がると、米国の国債や金融資産から得られるリターンが相対的に高くなる。そのため、世界の投資資金が米国市場へ流入しやすくなり、結果としてドル需要が高まる。
今回の相場でも、利回り上昇とドル高がほぼ連動して進んだと市場では見られている。
米国の経済指標もドル高の材料となった。最近のデータは、インフレ圧力が残る一方で、米経済が比較的強い状態を維持していることを示している。
通常、経済が強い場合、中央銀行は高金利政策を長く続ける余地がある。市場では、FRBが利下げを急がず、場合によっては追加利上げの可能性も残るとの見方が強まった。
この「高金利が長く続く」という予想が、ドル買いをさらに加速させた。
エネルギー価格の上昇も重要な要因だった。地政学的緊張による供給懸念を背景に、原油価格が上昇し、世界的なインフレ圧力が意識された。
原油価格は燃料費、輸送コスト、生産コストなどに波及するため、物価全体を押し上げやすい。インフレが長引けば、中央銀行は金融緩和に踏み切りにくくなる。
このため市場では、FRBが引き締め姿勢を維持する可能性が再評価され、ドルの上昇につながった。
今回のドル高で特に影響を受けたのが、新興国通貨だ。インドルピーやインドネシアルピアなどは対ドルで大きく下落した。
主な理由は2つある。
・資金移動:米国の利回りが上がると、投資資金がリスクの高い新興国市場から米国へ移動しやすい。
・エネルギー輸入依存:原油価格の上昇は、輸入依存度の高い国の貿易収支やインフレを悪化させる。
これらが同時に起きたため、新興国通貨はドルに対して特に弱くなった。
ドル高は新興国だけでなく主要通貨にも及んだ。
ユーロ:米国の金利が上昇すると、米国とユーロ圏の金利差が拡大し、ドル資産の方が魅力的に見える。
日本円:日本は依然として低金利政策を維持しているため、米国との金利差が広がるとドル買い・円売りが起きやすい。
カナダドル:資源国通貨ではあるものの、今回の相場ではドル全体の強さとFRB政策観測が為替の動きを主導した。
今回のドル上昇は、為替市場でよく見られる**「金利主導(レート・トレード)」の典型例**といえる。
これらが同じ方向に動いたことで、世界の資金が米国へ向かい、ドル高が加速した。
こうした条件が続く限り、為替市場は今後も米国の金利見通しとエネルギー価格に強く左右される可能性が高い。