この「国際収支の流れ」が、人民元に対する市場の見方を強気にしている重要な理由だ。
もう一つの背景は、米中関係の比較的安定だ。
過去の関税争いのような緊張が強まると、投資家は中国資産を保有するリスクを織り込み、通貨にも「リスクディスカウント」がかかる。しかし関係が落ち着けば、その割引は小さくなる。
ただし、中国の為替制度は完全な自由市場ではない。
この仕組みにより、当局は以下のような手段で通貨の動きを調整できる。
つまり、人民元は市場だけで決まる通貨ではなく、政策によって「方向と速度」がある程度コントロールされている。
最近の市場では、中国当局が急速な元高を警戒している兆候も見られる。
多くのアナリストは、この戦略を「管理された強さ(managed strength)」と表現する。つまり、人民元は徐々に上昇させるが、一方向の投機的な動きは抑えるという考え方だ。
さらに長期的には、中国は人民元の国際的な利用拡大を目指している。
貿易決済、金融取引、外貨準備などで人民元が使われる割合が増えれば、世界的な需要も徐々に高まる可能性がある。
銀行が人民元見通しを引き上げている背景は比較的明確だ。
しかし同時に、その上昇には自然な上限もある。
中国では中央銀行が為替の動きを積極的に管理しているため、人民元は急騰するというより、政策の範囲内で徐々に強くなる可能性が高い。
つまり、マクロ経済の力は元高方向に働いているが、最終的な上昇スピードは北京の政策判断に大きく左右されるというわけだ。
Comments
0 comments