この流出は、機関投資家による広範なリスク回避の動きの一環である。米国のスポットビットコインETF全体では、2026年第2四半期に約50億ドルの純流出が発生し、四半期ベースで過去最悪の資金流出を記録。その中でもIBITが売りの大部分を占めた。さらに、同時期にプライベートクレジット市場でも156億ドルの償還要求が発生しており、機関投資家の幅広いデリスキング(リスク資産削減)を示唆している。
ブラックロックのSEC提出書類には、各ファンドの資本取引の内訳が記載されている。
| ファンド | 拠出額(発行) | 償還額(償還) | ネット(Q2 2026) |
|---|---|---|---|
| IBIT(iShares Bitcoin Trust) | 43億ドル | 72億ドル | -29億ドル |
| ETHA(iShares Ethereum Trust) | 9億4,330万ドル | 15億ドル | -5億8,340万ドル |
| 合計 | 52億ドル | 87億ドル | 約35億ドル |
注:7月中旬の初期報道ではIBITの純流出は約33億ドルとされていたが、SECの正式な10-Q提出書類では拠出・償還ベースで29億ドルと確定している。 [出典6]は提出書類そのもの。
償還要求に応えるため、公認参加者(AP)はETF株式を現物の暗号資産と交換した。SEC提出書類により、その数量が明らかになった。
売り圧力は特に5月下旬に集中した。IBITは9営業日連続で24.3億ドルの純流出を記録し、最終的に5月26日に12.6億ドルのダークプール・ブロック売却が発生。これは2024年1月の上場以来、同ファンド史上最大の1日当たり償還額となった。同日のオンチェーンデータでは、IBIT関連のカストディウォレットからCoinbase Primeに約6,005BTCが転送されたことも確認されている。
なお、Arkham Intelligenceのオンチェーン追跡によれば、少なくとも8月4日時点で8月中にビットコインを売却したETFは存在せず、売りはQ2に集中していたことが示されている。
8月最初の数営業日で、Q2の流出は急反転し、ブラックロックのIBITとETHAが強い流入を牽引している。SoSoValueとFarside Investorsのデータを複数のメディアが報じた。
| 日付 | IBIT純流入 | ETHA純流入 | 備考・コンテクスト |
|---|---|---|---|
| 8月3日 | +1億1,140万ドル | — | IBITはBTC ETF全体の流入額1億7,010万ドルの65.5%を占める。全ファンドで流出なし。 |
| 8月4日 | +1億7,030万ドル | +4,250万ドル | IBITはBTC ETF全体の流入額2億1,100万ドルの80%を吸収。ETHAはETH ETFをリード。 |
| 8月5日 | +1億9,700万ドル | +5,034万ドル | ブラックロック合計で3億500万ドル、その日のBTC/ETH複合フローの80%超を占める。 |
| 7月30日~8月5日(累計) | 約5億3,920万ドル | — | この期間のIBIT単独の流入額。 |
| 同期間の市場全体 | — | — | 米国暗号資産ETF(BTC+ETH+SOL)の純流入額は7億1,750万ドル。うちBTCファンドが5億9,370万ドルを占めた。 |
8月4日時点で、米国スポットビットコインETFは2026年8月を通じて純流出ゼロの日がなく、この時点で6営業日連続の流入となっていた。
このペース(1億7,600万ドル/日)が続けば、Q2の35億ドル減少を完全に相殺するには約20営業日(約1暦月) と計算できる。しかし、これは非常に強い日が続いたごく短期間のサンプルに過ぎない。より持続可能な水準として1日あたり5,000万~8,000万ドル程度に落ち着くと仮定した場合、回復には44~70営業日を要する計算となる。
8月のリバウンドは疑いなく強く、ブラックロック主導であるが、これが機関投資家の本格的な復帰を意味するのか、それとも一時的なものなのかについて、アナリストの見方は依然として分かれている。現在のところ、リバウンドは戦術的な動きであり、構造的なものではないという慎重な見方が優勢だ。
コンセンサスは慎重寄りだ。8月のリバウンドは現実のものだが、5月の12.6億ドルという過去最大の1日売却や、7月の好調な流れが2日で帳消しになった事例が示すように、ETFのフローは依然としてイベントに敏感で、モメンタム主導であり、機関投資家による持続的な確信を反映したものとは言い難い。