しかし、モスクワの圧力は「論理」だけでは済まない経済の現実を突きつける。アルメニアの貿易総額の約40%はEAEUに依存しており、2025年の輸出額32億ドルのうち29億ドルがロシア向けだった 。クレムリンの報道官ドミトリー・ペスコフ氏は「アルメニアはEAEU加盟国の財政を犠牲にしてEUに近づくことはできないし、すべきではない」と警告
。オベルチュク副首相はEAEU離脱で輸出が70~80%減少し、エネルギーと食料価格が高騰すると予測
。プーチン大統領自身もGDPの少なくとも14%を失うと指摘し、ショイグ安全保障会議書記に至っては30~40%のGDP縮小と「EUからの寛大な補助金は期待できない」と警告した
。
これらの警告は、即効性のある経済措置と外交的な侮辱によって補強された。ロシアは6月1日から、アルメニア産魚介類の輸入を禁止 。さらにその前日、5月30日にはセルゲイ・コピルキン駐アルメニア大使を「協議のため」モスクワに召還した。ロシア外務省は異例の率直さで、その理由を「(アルメニア指導部による)EUへの接近がEAEU内の協力を損なっているため」と説明した
。EAEUの資格停止警告のわずか1日後に行われたこの大使召還は、6月7日の選挙を前にした、緻密に調整された最大限の圧力行使であることは疑いようがない
。
この危機で最も衝撃的な局面は、5月29日にロイター通信が暴露した、5人の西側情報機関関係者と政府文書に基づく調査報道だ。それによると、ロシアはパシニャン首相の再選を阻止するための秘密工作を強化していた 。その手法は、現代のハイブリッド戦争の全容を示すものだった。
このかつてない圧力の中、パシニャン首相は選挙での勝利こそが、この不可逆的な地政学的転換への最終的な「信任投票」になると賭けている。そして、現時点ではその賭けは成功する可能性が高い。5月31日に発表されたユーロニュースの世論調査は、パシニャン首相が地滑り的勝利と親欧米路線への強力な信任を得る軌道にあると報じた。同報道は、プーチン大統領がアルメニアとウクライナを重ね合わせ、同じ道をたどる危険性を警告した直後であり、しかもそれが、ドナルド・トランプ前米大統領がパシニャン氏に「完全かつ全面的な支持」を与えた数日後の出来事だったと指摘している 。
この選挙はもはや、誰が政権を取るかという問題を超えている。クレムリンが正式な国民投票を強制することに成功するか否かにかかわらず、6月7日の投票は、数十年にわたるアルメニアとロシアの同盟関係の終焉を決定づける、事実上の「国民投票」となったのだ。
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