ちなみに、2026年第1四半期だけでも、XRPの下落局面で22億ドル超のポジションが清算され、時価総額は300億ドル以上が吹き飛んでいた。今回の急落は、市場が元々抱えていた弱さが中東リスクという火種で一気に噴き出したものと言える 。
短期的なモメンタムは明らかに弱気だが、いくつかのオシレーター系指標は「売られ過ぎ」の領域に達しており、短期的な反発の可能性も示唆している。
5月28日時点の主な指標:
要するに、現在の市場は「モメンタム」と「平均回帰」のシグナルの間で板挟みになっている。MACDと割り込んだ日足移動平均線は下値圧力の継続を示唆するが、売られ過ぎのストキャスティクスやCCIは、少なくともテクニカルなリバウンドが近い確率を高めている。200週EMAと2月の最安値が重なる1.18~1.20ドルが、目先の最重要サポートとなる 。
今回の急落で最も意外だったのは、XRPのETF(上場投資信託)が崩壊しなかった点かもしれない。2025年11月のローンチ以来、米国のスポットXRP ETFへの累積純流入額は約13.2億~14.5億ドルに達している 。全取引週の約77%で純流入を記録しており、資金流出が起きたのはわずか6週間だけだ
。
2026年5月だけでも8,400万ドル超の純流入があり、5月11日~15日の週には年初来最大となる6,050万ドルが流入した 。4月には20営業日連続で流入が続く場面もあり、約8,200万ドルを集めた
。
だが、こうした安定的な機関投資家の資金流入も、現物主導の売りやレバレッジ清算の連鎖からXRPを守ることはできなかった。2026年3月には、弱気なマクロ環境を受けてETFが初の月間純流出(約-3,152万ドル)に転じた事例もある 。
現在、米国のXRP ETFは合計で約12億ドルの純資産を有し、8億4千万XRP超のトークンをカストディ(保管)している 。しかし、こうした商品の存在は「即効性のある下値の床」というより、長期的な構造的支援材料として機能しているに過ぎない
。
今回の急落と過去の下落局面の最大の違いは、取引所で取引可能なXRPの供給量が劇的に減少していることだ。取引所に預けられているXRPの準備高は、2025年10月の37.6億トークンから2026年初頭には約16.6億トークンまで減少。わずか5ヶ月足らずで57%も減少した計算になる 。
この供給減少を主導しているのは、次の3つの要因だ。
取引所の流通供給量が歴史的低水準にあるという事実は、パニック的な売りが起きた際の「売りの厚み」を減らす効果がある。5月28日の1.30ドル割れそのものは防げなかったが、過去の下落局面に比べて、一段安のスピードは抑制される可能性がある 。
5月28日の10億ドル近い清算は、あらゆるリスク資産を直撃した米イラン緊張が引き金であり、XRP固有の要因に起因するものではない 。ビットコインの継続的な弱さがアルトコイン全体を圧迫していた流れがあり、2月のXRP急落もビットコインの7万ドル割れとETF流出、レバレッジ清算が主因だった
。
XRPの立ち位置をユニークにしているのは、ETFを巡る物語だ。累積流入データに見える機関投資家の蓄積と、取引所からの供給流出による「品薄」状態は、大半のアルトコインにはない構造的要素と言える。5月28日の急落は本質的にマクロ主導のレバレッジ巻き戻しイベントであり、ETFを軸とした機関投資家の蓄積テーゼを破壊するには至っていない。
焦点は、地政学的緊張がさらにエスカレートするかどうかに絞られる。仮に緊張が高まれば、テクニカルと流動性の両面から、1.18~1.20ドルが次の試金石となるだろう。一方で、状況が落ち着けば、売られ過ぎのオシレーターと逼迫した取引所供給が、特にETFへの資金流入が4月~5月前半のパターンに復帰すれば、急激な戻り相場の条件を整える可能性もある。
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