つまり4月の数字は、需要の方向感を知るには有用だが、テスラが認めた単一の「世界販売台数」として扱うべきではない。
4月のストーリーで最もはっきりしているのは韓国だ。ChosunBizが引用したKAIDAのデータによると、テスラは2026年4月に韓国で輸入乗用車登録1万3,190台を記録し、3カ月連続で輸入ブランド首位を維持した。これは韓国の輸入車ブランドとして過去最高の月間販売台数だった 。
主役はモデルYだった。モデルYは4月に1万台を超え、韓国の輸入車市場で単一モデルとして初めて月間1万台を突破した 。このため韓国での急伸は、単なるブランド人気というより、特定モデルの販売量が一気に伸びた結果と見るのが自然だ。
勢いは3月から続いていた。テスラは韓国で3月に1万1,134台を登録し、前年同月比330%増となったほか、第1四半期の納車台数は2万964台に達していた 。2026年初めの報道では、韓国でのテスラの強さについて、強いブランドロイヤルティに加え、値下げによって購入者がより大きな政府補助金を受けやすくなったことが背景にあると指摘されていた
。
中国も前年比では力強く見える。ただし、ここでも細部の確認が必要だ。
ロイターが引用した中国乗用車協会(CPCA)データに基づく報道では、4月の上海製Model 3/Yの販売台数は7万9,478台で、前年同月比36%増だった。この合計には、中国国内販売と欧州などへの輸出分が含まれている 。一方、South China Morning Postは、上海工場の4月納車台数を7万4,478台と報じつつ、同じく前年同月比36%増と説明した
。
報道された台数に差がある以上、最も安全な読み方は、特定の1つの数字にこだわることではない。重要なのは、上海製Model 3/Yのボリュームが2025年4月から大きく回復した、という点だ。
ただし、中国市場での競争圧力が消えたわけではない。South China Morning Postは、4月の台数が前月比では減少したとし、国内ブランドの新モデル攻勢によって競争が激しくなっていることを示す動きだと報じた 。同じ報道は、地方政府の補助金やEVへの関心の高まりが、テスラの4月納車を支えた要因だとも指摘している
。
要するに中国は「反発」の話であって、テスラが競争から抜け出したという話ではない。
欧州は最もまだら模様だった。ロイター系の登録データでは、スウェーデン、フランス、デンマークでテスラの新規登録が2倍超となり、オランダでも増えた。一方で、ノルウェー、ポルトガル、イタリア、スペインでは大きく減少した 。
欧州の回復には、比較対象の低さもある。RTEによれば、テスラの欧州販売は2025年に約27%減少するなど2年連続で落ち込んだ後、2026年第1四半期には欧州全体で約45%増加した 。ロイター系報道も、回復の背景として、前年との比較がしやすくなったことに加え、イラン戦争後のガソリン価格上昇を受けて内燃機関車以外への関心が高まったことを挙げている
。
つまり欧州は「全面回復」ではない。伸びた国での改善は本物だが、地図全体を見ればまだ強弱がはっきり分かれている。
2. 実質的な買いやすさ
韓国では、値下げによって購入者がより大きな政府補助金の対象になりやすくなったことが、テスラの成長要因としてすでに指摘されていた 。中国でも、地方政府の補助金が4月の納車を支えた要因として挙げられている
。
3. 弱かった2025年との比較
欧州の4月回復は、2年連続の年間減少後という低い比較ベースに助けられた 。中国製テスラの台数も、競争が激化した2025年の厳しい時期からの反発という文脈で読む必要がある
。
4. 消えていない競争圧力
欧州ではBYDなど中国勢がテスラのシェアに圧力をかけ続けている 。中国でも、前年比では増えた一方で前月比では落ち込んでおり、国内ブランドの新モデル攻勢が背景にあると報じられた
。
テスラの2026年4月の販売増は、入手できる地域データを見る限り本物だ。ただし、それは一枚岩の世界的ブームではない。
より正確には、モデルYの需要と価格・補助金の効果が韓国で記録的な月を生み、中国では上海製Model 3/Yが前年比で反発し、欧州では国ごとに回復が進んだ、ということだ。
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