投資家はこの世界的なメモリー需給の構図をCXMTにも当てはめた。CXMTは中国のDRAMメーカーとして、同国の半導体サプライチェーンの国内化を支える存在と見なされている。 中国が半導体の「自立」を進めるなかで、国内で調達できるメモリー供給源の戦略的価値が高まるとの期待も、株価を押し上げた。
つまり、今回の評価は現在の決算だけを反映したものではない。AI需要の拡大、メモリー不足の長期化、中国国内での重要性、そしてCXMTが技術と生産能力を拡大できるかという将来への期待が大きく織り込まれた動きだった。
8月13日に開かれたSanDiskの投資家向け説明会も、メモリー関連株への強気ムードを強めた。同社は、AIインフラの急速な整備を背景に、2028~2030会計年度の売上高が中~高10%台の伸びになると予想した。
SanDiskは、AI推論の普及やKVキャッシュの拡大によって、コンピューター内でデータを保持・移動する「メモリー階層」が変化していると説明した。AIデータセンターは従来の想定よりもストレージ集約型になり、企業向けデータセンター用フラッシュの市場規模は2030年までに1.2ゼタバイトに達する可能性があるという。
この見通しは、市場の関心を「AI向け計算チップだけ」のテーマから、メモリーやストレージもAIインフラの制約になり得るという、より広いテーマへと広げた。AI需要が一時的なサーバー更新ではなく、数年単位で続く可能性があるとの期待にもつながった。
SanDiskはさらに、AI推論デバイスを開発する顧客向けに、High Bandwidth Flash(高帯域幅フラッシュ)の最初のメモリーダイの設計を完了し、初期サンプルの提供に向けて取り組んでいると説明した。 限られたウエハーからより多くのデータ容量を生み出す技術も重視されており、供給規律やメモリー価格への注目を強める材料となった。
SanDiskの見通しがCXMT株に影響したのは、両社の製品が同じだからではない。SanDiskは主にNAND型フラッシュメモリーを手がける一方、CXMTの主力はDRAMだ。企業向けSSDや高帯域幅フラッシュの成長見通しが、そのままCXMTの売上高を意味するわけではない。
両社のつながりは、メモリー業界全体に対する「波及評価」にある。SanDiskの予想は、AIインフラが複数の種類のメモリー需要を中長期的に支える可能性を示した。Micronの発言は、AIワークロードの拡大によってDRAM容量やメモリー帯域幅への需要が強まり、供給制約が続く可能性を示した。
投資家はその世界的な循環を、中国市場ではCXMTが享受するとのシナリオに結びつけた。
しかし、この時価総額が現在の利益水準によって正当化されることを意味するわけではない。株価が示したのは、AI関連メモリー需要の拡大、供給不足の長期化、中国国内での戦略的重要性、技術開発の成功を前提とした、はるかに大きな将来市場への期待だ。
要するに、CXMTは従来型の景気循環銘柄である半導体メーカーではなく、中国を代表するAIメモリー企業になる可能性を持つ銘柄として評価され始めた。その背景をMicronやSanDiskの発言が補強したものの、CXMTの業績に対する直接的な効果は、現時点では確認された成果というより、投資家の期待にとどまっている。