現在、UberはDelivery Heroの**発行株式の約19.5%**を保有しています。
主なポイントは次の通りです。
このオプションを含めると、Uberの潜在的な影響力は約25%前後に近づく可能性があります。株主総会の重要決議に影響を与えうる水準です。
Uberの戦略を理解するうえで重要なのが、ドイツの公開買付け制度です。
ドイツの証券取得・買収法(WpÜG)では、上場企業の議決権の30%以上を取得すると「支配権取得」とみなされると定められています。
このラインを超えると、通常は
しなければなりません。
つまり戦略的には次のような境界が生まれます。
Uberが現在19.5%付近にとどまっているのは、このルールを意識したポジションとも解釈できます。
今回の動きは、単独の投資というより世界的なフードデリバリー業界の再編の流れの中で理解されています。
現在、業界は
など少数のグローバル企業が主導する構図に変わりつつあります。
報道によると、UberがDelivery Heroの完全買収を検討する理由の一つは、米国外でDoorDashと競うための国際的な規模拡大だとされています。
Delivery Heroの強みは、非常に広い地域に展開するデリバリーネットワークです。
同社は
など多数の市場でブランドと配送ネットワークを持っています。
Uberにとっては次のようなメリットがあります。
デリバリー事業では、注文密度が上がるほど配送効率が改善し、利益率が上がる傾向があります。
Uberの持ち株増加を後押ししたのが、オランダのテック投資会社Prosusによる株式売却です。
Prosusは**約4.5%分のDelivery Hero株(約2億7000万ユーロ)**をUberに売却しました。
この取引によりUberは一気に持ち株を増やすことができ、筆頭株主へと浮上しました。
なおProsusは、Just Eat Takeawayの買収に関連するEU競争当局の条件に対応するため、Delivery Hero株の保有比率を減らしていました。
Delivery Heroの株価が上昇している点も、将来の買収に影響します。
Uberの現在の保有株だけでも約17億ユーロの価値があるとされています。
株価が上がるほど
が膨らむため、完全買収のコストは大幅に増える可能性があります。
規制当局のハードルも無視できません。
台湾では、UberがDelivery HeroのFoodpanda事業(約9億5000万ドル)を買収する計画が、競争当局によって阻止されました。
当局は、統合後の市場シェアが90%以上に達し、競争が大きく損なわれる可能性を指摘しました。
最終的にUberは取引を断念し、約2億5000万ドルの違約金を支払ったと報じられています。
この事例は、UberとDelivery Heroの事業統合が市場によっては厳しく審査される可能性を示しています。
ここまでの動きを総合すると、Uberの戦略は「即時買収」よりも将来の選択肢を確保するポジション取りと見るのが自然です。
現在の持ち株は次の利点をもたらします。
最終的に完全買収が実現するかどうかは、主に次の3つに左右されるでしょう。
少なくとも現時点で言えるのは、UberはDelivery Heroの外部の観察者ではなく、戦略圏の内部に入ったということです。そして30%ラインに近づくかどうかが、次の大きな転機になる可能性があります。