ただし、この増加は企業全体に均等に広がっているわけではない。
企業保有の世界では、**Strategy(旧MicroStrategy)**が圧倒的な存在だ。
データトラッカーによると、同社は84万BTC以上を保有しており、上場企業の中で最大のビットコイン保有企業となっている。
2026年初頭のレポートでは、Strategyは企業保有ビットコインの約3分の2を占めているとされ、2026年3月だけで44,377BTCを購入するなど積極的な買い増しを続けている。
つまり、「企業によるビットコイン採用」という大きな数字の裏側には、1社の資本調達能力が大きく影響しているという現実がある。
Strategyのモデルは比較的シンプルだ。
このように、同社はビットコイン保有そのものを企業戦略の中心に据えている。
Strategy以外にも、一定量のビットコインを保有する企業は存在する。
代表例として挙げられるのが次の企業だ。
これらの企業は数万BTC規模の保有を持つが、Strategyと比べると依然として規模差は大きい。
また企業ごとに戦略も異なる。
この違いが、企業の売買行動にも影響している。
すべての企業がビットコインを買い続けているわけではない。
特にマイニング企業は、ビットコインを「在庫資産」として扱うことが多く、必要に応じて売却する。
例えば米マイニング企業Riot Platformsは、2026年第1四半期に3,778BTCを売却し約2億8,950万ドルを調達した。
この売却量は、その四半期の採掘量の2.5倍以上であり、運営費や設備投資の資金確保が目的だったとされる。
同様に、Marathon Digitalも15,133BTCを売却して転換社債を買い戻し、財務体質の改善を図った。
ここには明確な違いがある。
つまり、企業のBTC需要は常に買い一辺倒ではない。
現在の企業によるビットコイン蓄積は、資本市場の環境に大きく依存している。
多くの企業は次の条件が成立することで資金を調達できる。
しかし、この構造には反射性(reflexivity)のリスクがある。
もしビットコイン価格が下落すると、次の連鎖が起こり得る。
結果として、これまで積極的に買っていた企業が
といった状況に変わる可能性もある。
過去1年で36万9,000BTCが企業財務に追加されたという事実は、ビットコインが伝統的金融市場へ組み込まれ始めたことを示す重要な指標だ。
しかし同時に、その構造にはいくつかの特徴がある。
つまり、企業によるビットコイン採用は確実に進んでいるものの、まだ広範で安定した段階には達していない。
現在の勢いの多くは、限られた企業による資金調達戦略に支えられているのが実態だ。