一方で、短期的な市場センチメントを左右する最大の外部要因の一つは、米連邦準備制度(FRB)の金融政策だ。
一般的に、155日以上動かされていないBTCを保有するウォレットは「長期保有者」と分類される。こうした投資家は短期の価格変動に反応しにくく、市場の“強い手(strong hands)”と見なされる。
最新データでは、長期保有者は過去30日間で約31万6,000BTCを追加取得し、保有総量を約1,526万BTCまで増やした。
この増加が重要なのは、コインが長期保管に移るほど市場で取引可能な流動供給が減るためだ。つまり、売買に使われるBTCが減り、需給バランスが引き締まる。
長期保有者の増加は、大口投資家による蓄積の可能性も示唆している。
オンチェーン分析では次のようなシグナルが観測されている。
これらは、主要プレーヤーが市場に売却するのではなく、供給を吸収して保有している可能性を示す。結果として、短期的な売り圧力が弱まりやすい。
過去のサイクルでも、短期トレーダーから長期投資家へ供給が移る局面は、その後の強い市場トレンドの前段階として観測されることが多かった。
ビットコインの大部分が長期間動かないウォレットに入ると、実際に市場で売買できる供給が減る。アナリストはこれを**「流動性の圧縮」や「供給ショック」**と呼ぶことがある。
仕組みはシンプルだ。
需要が増える一方で市場の流動供給が減ると、価格はより急激に動きやすくなる。買い圧力に対して売り物が少なくなるためだ。
ただし、供給が引き締まるだけですぐに価格上昇が起きるとは限らない。デリバティブ市場のポジション、資金流動性、そしてマクロ経済の状況も価格に大きく影響する。
オンチェーン指標が強気でも、現在のビットコインはマクロ経済の影響を強く受ける資産として取引される傾向がある。
特に市場が注目するのは、FRBの金融政策を議論したFOMC議事要旨(FOMC minutes)や金利見通しだ。これらは世界的な資金流動性とリスク選好を左右する。
最近の政策コメントやアナリストの見通しでは、利下げ開始の期待が後ろ倒しになる可能性が指摘されており、市場は「より長く金融引き締めが続く」シナリオを再評価しつつある。
暗号資産市場にとって重要なのは次の点だ。
歴史的に、利下げ局面や金融緩和期は暗号資産への投資意欲を高める傾向がある。
現在のビットコイン市場は、次の2つの力の綱引きで動いている。
オンチェーンの強気要因
マクロ経済の不確実性
もし今後のFRBコミュニケーションが金融緩和方向を示唆すれば、現在の供給の引き締まりは強い上昇圧力として働く可能性がある。
一方で、政策当局が「金利は長期間高止まり」という姿勢を強調すれば、オンチェーンの強いシグナルがあってもビットコインは当面レンジ相場や高いボラティリティにとどまる可能性がある。
長期保有者が保有するビットコインは**約1,526万BTC(流通量の約77%)**に達し、市場では供給の引き締まりが進んでいる。これは長期的には強気の構造変化とみられる。
ただし短期の価格動向は依然としてFRBの金融政策と金利見通しに大きく左右される。
要するに、供給面は強気だが、相場のタイミングを決めるのはマクロ環境という構図だ。