Rampが公表した最新の企業支出データからは、OpenAIとAnthropicの競争が、勝者の決まった市場ではなく、かなり流動的な争いになっていることがうかがえる。2026年7月時点のRampの有料企業顧客ではAnthropicがリードしていたが、2026年第3四半期に入ってからの成長速度はOpenAIが上回っているという。もっとも、これは米国の企業向けAI市場全体を測る確定的な市場シェアではなく、早期の導入動向を示すデータとして読むべきだ。
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7月時点の首位はAnthropic
AnthropicがRampの有料企業顧客の間でOpenAIを初めて上回ったのは5月だった。この時点でAnthropicに支払っていた企業は約41%、OpenAIは約39%だった。
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7月になると、Anthropicの割合は43.5%に上昇。一方、OpenAIは39.7%で、両社の差は3.8ポイントとなった。
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ここでいう数字は、Rampを利用する企業のうち、それぞれのAI提供会社に料金を支払っている企業の割合だ。売上高のシェアを示すものでも、両社を合わせて100%になる排他的な市場シェアでもない。1社がAnthropicとOpenAIの両方に支払うこともあるためだ。
実際の企業では、コーディングにはあるモデル、調査や顧客対応には別のモデルというように、用途ごとに複数のサービスを使い分けるケースも考えられる。
より重要なのは、OpenAIの伸びの速さ
最新の通期に近い月次データではAnthropicが先行しているものの、Rampによれば、第3四半期のこれまでの期間ではOpenAIの有料企業ユーザーの増加ペースがAnthropicを上回っている。7月の差が、そのまま固定的な順位になるとは限らない。
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今回のデータは、次の2つの動きを同時に示している。
- 直近の導入率ではAnthropicが優勢。Rampの企業の43.5%がAnthropicに支払い、OpenAIは39.7%だった。
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- 最近の成長ではOpenAIが優勢。春にAnthropicが先行した後、OpenAIが差を縮め始めている。
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ただし、ここで示された情報には、両社の第3四半期の正確な成長率は含まれていない。したがって、次にどちらが首位に立つかを予測するというより、勢いの方向を示す材料と見るのが適切だ。
価格やプライバシーが選択を左右している可能性
Rampのモデル別データには、OpenAIが勢いを取り戻している背景を考える手がかりもある。ただし、因果関係が証明されたわけではない。
7月、OpenAIのGPT-5.6 Solは、OpenAIから企業が購入したトークンの25%、モデル関連支出の23%を占めた。一方、Anthropicの新モデルFable 5は、Anthropicから購入されたトークンの6%、モデル関連支出の11.4%にとどまった。Fable 5による支出額は、Solの約75%だったという。
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企業の開発者がモデルの性能だけでなく、価格や使いやすさも重視している可能性はある。Rampの比較では、Fable 5は一部の評価でSolを上回る性能を示した一方、価格はSolより大幅に高かった。
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データの扱いも、企業によっては判断材料になりうる。報道によると、Anthropicの最先端モデルでは、法人顧客に30日間のデータ保持を求めていた。同社は今後、保持のための仕組みを顧客自身のクラウド上で運用できるようにし、企業側の管理範囲を広げるシステムを導入する計画だという。
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この方針は、規制の厳しい業界や機密情報を扱う組織にとって不利に働く可能性がある。しかし、Rampの導入率を説明する確定的な理由として扱うことはできない。取引データから分かるのは企業が何に支払ったかであり、価格、性能、プライバシー、調達手続きなどのうち、何が決定打になったかまでは分からないからだ。
Rampのデータで分かること、分からないこと
Rampの分析は、同社の法人カードおよび請求書払いサービスを利用する7万社超の米国企業について、匿名化・集計された取引データを使っている。規模の大きい支出データではあるが、米国企業全体の国勢調査でも、企業向けAI契約の完全な記録でもない。
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数字を読む際には、いくつかの制約がある。
- クラウドマーケットプレイス、再販業者、他の調達システム、ソフトウェアへのバンドル、Ramp外の請求書を通じた支出は、データに現れない可能性がある。
- Rampの顧客、特にモデルのトークンを直接購入する企業は、米国企業全体よりもテクノロジー志向が強い可能性がある。
- Fable 5とGPT-5.6 Solの比較に使われたトークン支出のサンプルは、Rampのより広いAI導入サンプルよりも技術企業に偏っている。そのため、実際のFable 5の導入は比較データの推計より少ない可能性があるとRamp自身も注意を促している。
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- これらの割合が示すのはRampの顧客における導入状況であり、米国全体の企業向け市場シェアではない。
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また、Rampの更新内容によって数値には報告上の差もある。7月の初期データを扱った報道ではAnthropicが42.4%、OpenAIが39.5%とされ、その後の報道では43.5%と39.7%とされた。
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13 数字の更新時点や方法には違いがあるものの、より大きな結論は共通している。7月はAnthropicが先行し、第3四半期にはOpenAIの成長が速かったという点だ。
AI支出は「奪い合い」だけではない
この競争は、企業によるAI利用が全体として拡大する中で起きている。Rampの企業顧客で有料AIサービスを利用する割合は、3月に初めて50%を超え、50.4%に達した。
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7月には、その割合が約56%まで上昇した。
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6 つまり、OpenAIとAnthropicの争いは、決まった顧客を両社が奪い合うだけのものではない。新たにAIを導入する企業が増える一方、既存の利用企業も複数の提供会社を試している。
この市場拡大は、導入率と支出額が異なる動きを見せる理由も説明する。ある会社が利用企業数を増やしていても、利用量で最大のシェアを取るとは限らない。反対に、一部のヘビーユーザーがモデル支出の大部分を押し上げることもある。
企業向けAIは、まだ「乗り換え可能」な市場
5月のAnthropicの躍進に続き、第3四半期にはOpenAIの成長が速くなったという流れは、現時点で企業が特定のAIベンダーに強く固定されていないことを示唆する。企業は、モデルの性能、価格、プライバシー条件、開発者向けツールが変われば、試用したり、複数社を併用したり、採用先を見直したりする余地を残しているようだ。
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これは、企業のAI支出そのものが縮小しているという意味ではない。むしろ市場が拡大する一方で、ベンダーへの忠誠度はまだ定まっていないということだ。導入企業にとっては、AIモデルの選択は一度きりの決定ではなく、複数のサービスを組み合わせて継続的に見直すポートフォリオ運用に近いものになる可能性がある。
OpenAIとAnthropicにとって、7月の数字は最終判定ではない。RampのサンプルではAnthropicが依然として大きな顧客基盤を持つが、OpenAIの最近の加速は、新モデルの登場や価格差、データ方針の変更によって、企業向けAIの勢力図が短期間で変わりうることを示している。