モハンマディの入院は、刑務所内で起きた急激な健康悪化がきっかけだった。
2026年5月初め、彼女はイラン北西部ザンジャンの刑務所で意識を失うなどの症状を起こし、重い心臓発作の疑いがある状態で病院へ緊急搬送されたと報じられている。
その後の検査では、心臓の主要動脈のうち2本に大きな詰まりがあることが判明し、血管の状態が大きく悪化している可能性が示された。医師による評価では、健康を安定させるために数カ月の継続的治療が必要とされている。
彼女の兄も、命に関わる可能性のある心疾患のため、テヘランでの専門的な心臓治療が急務だと述べていた。
モハンマディの健康危機について、家族や支援団体は刑務所での環境が影響した可能性を指摘している。
ナarges・モハンマディ財団などは、収監中に十分な医療を受ける機会が遅れたり制限されたりしたと主張し、心理的な強い圧力も健康悪化の要因になった可能性があると述べている。
人権団体も、イランの刑務所では拘束者が適切な医療にアクセスすることが難しい場合があるとの懸念を以前から指摘している。
ただし、今回の病状に刑務所環境がどの程度直接影響したかについては、主に家族や支援団体の主張に基づくもので、独立した医療機関による検証は確認されていない。
現在モハンマディは刑務所の外にいるが、完全に自由になったわけではない。
イラン当局は健康状態を理由に刑の執行を一時停止し、高額の保釈金を条件に彼女を釈放した。保釈金の具体的な額は公表されていない。
この措置はあくまで医療目的の一時的なもので、治療期間が終われば再び刑務所へ戻される可能性がある。
そのため、支援団体や家族は今回の退院を「解決」ではなく、状況が一時的に緩和されただけだと位置づけている。
モハンマディの健康危機は、国際社会の関心と圧力を一層強めている。
ノルウェーのノーベル委員会の委員長は、彼女の命は「イラン当局の手に委ねられている」と警告し、専門医による治療を受けられるよう釈放を求めた。
さらに、化学・医学・文学・平和賞など各分野のノーベル賞受賞者100人以上が共同声明を出し、イラン政府に対してモハンマディの完全かつ無条件の釈放を求めている。
ナarges・モハンマディは、女性の権利擁護やイランにおける死刑制度への反対運動で知られる人権活動家で、2023年にノーベル平和賞を受賞した。
彼女は長年にわたり逮捕と収監を繰り返しており、その健康問題や拘束状況は国際社会で広く注目されている。
今回の退院は容体が安定したことを示す可能性はあるが、完全な回復を意味するものではない。彼女は依然として重い心疾患の治療を必要としており、法的にも刑の執行停止という暫定的な状態にある。
つまり現在の状況は「回復」でも「自由」でもなく、健康と自由の両方が依然として不確かな状態に置かれていることを示している。