つまり、50日線は「変化の兆しを早く知らせる」一方、50週線は「底打ちをより強く確認する」指標です。投資家にとっては、早期に相場へ戻るか、初期の上昇を一部見送って確認の確度を高めるかという選択になります。
50週線のシグナルが機能しなかった2回は、2021~2022年のダブルトップ局面で発生しました。ビットコインは一時的に長期移動平均線を上回ったものの、下落を止められず、最終的に15,758ドルまで値を下げました。
この事例は、移動平均線を回復しただけで新たな強気相場が始まったと判断するのは危険だと示しています。8万2,470ドルを週足終値で上回れば、過去の傾向から見た底打ちの可能性は高まりますが、その後も水準を維持し、2021~2022年のような「だまし」を回避できるかが重要です。
対照的な例が2019年5月です。このときは早い段階で移動平均線を回復し、その後、本格的なサイクル上昇へと発展しました。両者を比べると、トレーダーが直面する「スピードと確認の確度」のトレードオフが見えてきます。
なお、提供された調査資料からは、50週線による確認を待つことで投資家が平均して何%の上昇を逃すのかという具体的な数値までは確認できません。裏付けられているのは、早期シグナルには誤判定が多い一方、遅いシグナルは確認の確度が高いという大きな傾向です。
ただし、Galaxy Researchの分析と併せて紹介された市場分析では、今回の上昇は幅広い現物需要によるものというより、デリバティブ市場でのポジション調整やショートカバーに大きく支えられた可能性が指摘されています。
ショートカバーとは、下落を見込んで売りを仕掛けていた投資家が、損失拡大を避けるためにビットコインを買い戻す動きです。買い戻しが連鎖すれば価格は急速に上昇しますが、それだけで長期投資家の資金が大規模に戻ったとは限りません。
したがって、現在の反発は「状況を改善させる動き」ではあるものの、「確認済みの上昇トレンド」とまでは言えません。焦点は、日中の取引で8万2,470ドルに一度到達することではなく、週足終値で50週線を上回り、その後も水準を維持できるかどうかです。
次回のジャクソンホール会議に対する市場の受け止め方も、ビットコインが確認ラインへ到達できるかに影響する可能性があります。金融環境の緩和を示唆するようなリスクオンのメッセージが出れば、50週線に向けた上昇を後押しする展開が考えられます。
いずれも予測ではなく、想定されるシナリオです。現時点で最も重要な確認材料は変わりません。ビットコインが約8万2,470ドルの50週移動平均線を週足終値で回復できれば、サイクル安値はすでに過ぎたとの見方が強まります。一方、その水準を回復できなければ、弱気相場が終わったかどうかは引き続き判断が分かれることになります。
Galaxy Researchのバックテストでは、50週移動平均線は50日線よりも過去の誤判定が少なく、弱気相場の底を見極めるうえで重みのある指標でした。
ビットコインは現在、強い反発を見せています。しかし、より信頼性の高い試金石である8万2,470ドルをまだ週足終値で明確に上回っていません。そのため、今回の上昇が新たな上昇トレンドの始まりなのか、それとも一時的なリリーフラリーにすぎないのかは、もう一段の確認が必要です。