ビットコインの8月の上昇は、「下落局面が終わりつつある」とみる根拠を大きく強めた。ただし、それだけで持続的な新たな強気サイクルの開始が確定したわけではない。
今回の上昇には、現物需要や買い集めの兆候がある一方、空売り勢の買い戻し(ショートスクイーズ)も急騰を押し上げた。両者は同時に起こり得るが、上昇の持続性という点では意味合いが異なる。
BTCは6万2,000ドル台前半から上昇し、日中には8万1,257ドルを付けた後、7万ドル台後半へ押し戻された。
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11 力強い回復ではあるものの、長期的に重要なレジスタンス帯に差し掛かっている。
反転シナリオが強まった理由
現物ETFへの資金流入が需要の土台に
米国の現物ビットコインETFでは、8月に資金流入が大きく回復した。月間純流入の報告値は、集計元や基準日により約30.5億〜35億ドルと幅があるが、ブラックロックのiShares Bitcoin Trust(IBIT)が主要な受け皿とされた。
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これは重要だ。ETFを通じた買いは、レバレッジを使う先物取引とは異なる現物需要だからである。8月21日終了週には、米国の現物ビットコインETFに約19.2億ドルが純流入し、そのうちIBITが約13.3億ドルを占めたとの報告がある。
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大口保有者は下落局面で買い増した
CryptoQuantに基づく報道では、しばらく売りを続けていた大口保有者がビットコインの買い増しを再開した。ブルームバーグは、取引所とマイニングプールを除く大口保有者の区分が60日間で約4万3,000BTCを積み増したと報じた。
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オンチェーン分析では、ウォレットの分類によって別の数値も示される。ある分析では、6月14日から8月14日にかけて100BTC超を保有するウォレットが約5万4,400BTCを増やす一方、より小規模なウォレットは約2万7,400BTCを売却した。
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これらの数字は、定義、集計期間、除外対象が異なるため、同一の指標として単純比較すべきではない。それでも共通するシグナルは明確だ。大口保有者は高値で売り抜けるより、価格が弱い局面で蓄積していたように見える。
上昇は「自然な買い」だけではなかった
上昇の速さには、下落を見込んでいたトレーダーの強制的な買い戻しも影響した。BTCの上昇局面では、暗号資産市場で数十億ドル規模のショートポジションが清算されたと報じられている。
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ショートスクイーズは、本物のブレイクアウトを増幅することがある。しかし、現物需要だけでは維持できない水準まで一時的に価格を押し上げる場合もある。したがって、初動の急騰そのものより、もみ合い局面でもETF流入と大口保有者の蓄積が続くかどうかが重要になる。
確認ラインはおおむね8.1万〜8.3万ドル
見るべきなのは、BTCが一瞬でも8万ドルを上回ったかではない。長期レジスタンスとされる8万1,000〜8万3,000ドル付近の帯を、終値ベースで上抜け、維持できるかだ。
市場コメントでは、50週移動平均線が8万〜8万1,000ドル付近にあり、週足終値でこの水準を複数回上回れば弱気見通しを後退させ得るとされた。
3 またCryptoQuantは、BTCが初期の強気相場局面にあるとしつつ、当時約8万3,000ドルだった365日移動平均線を上回って引けることを正式確認の条件として挙げた。
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両者は同一の指標ではなく、厳密に一本の価格線とみなすべきではない。だが実務的には、週足でおおむね8万1,000〜8万3,000ドルを持続的に上抜け、その後の押し目で同ゾーンを支持線に転換できるかが、日中の一時的な高値より強いサイクル反転の証拠となる。
Cycle Momentumに求められる動き
CryptoQuantのCycle Momentumがマイナス圏からわずかにプラスへ転じたことは、方向性の変化として前向きな材料だ。持続していた下落モメンタムが止まった可能性を示す。
ただし、ゼロ近辺の値はサイクル全体の拡大局面と同義ではない。市場関係者が注目する20〜30の領域へ指標が明確に上昇し、価格がもみ合う局面や上昇局面でも高水準を保つことが、より強いシグナルとなる。確認に必要なのは、最初のプラス転換ではなく、改善が継続することだ。
なお「弱気相場中の反発」とみる余地が残るリスク
過熱したモメンタムとレバレッジ
RSIが80を超えることは、短期的な値動きがかなり伸び切っていることを示す。ただし、それ自体が天井を意味するわけではない。一方で、高いRSIに年率換算で約10%の無期限先物ファンディングが重なると、ロングポジションが混み合い、急な清算売りに弱くなり得る。
BTCが8万〜8万2,000ドルの供給帯を試した局面で、14日RSIは80.37〜83.22の範囲にあったとの報告もある。
23 大局の地合いが改善していたとしても、急上昇後に大きく押す、あるいは横ばいで過熱を解消する展開は不自然ではない。
見出しより重要になる支持線
ブレイクアウト後にまず注目される実用的な価格帯は、7万6,000〜7万8,000ドルだ。この水準を維持できれば、ショートスクイーズ後も買い手が価格を支える意思を持つことを示す。明確に割り込めば、短期の強気構造は弱まり、市場で指摘される短期保有者の取得原価ベースである約6万9,000ドルを試す可能性が高まる。
この取得原価ベースを持続的に下抜け、回復に失敗すれば、「弱気相場中の一時反発」とする見方に重みが増す。反対に、ETFへの資金流入と大口保有者の買い増しが続くなかで支持線を守れれば、回復の信頼性は高まる。
本格的なサイクル反転と判断するための条件
次の材料が重なれば、反転シナリオの説得力は一段と増す。
- Cycle Momentumが小幅なプラスにとどまらず、大きく上昇すること。
- BTCが週足終値で8万1,000〜8万3,000ドルを上回り、その帯を支持線に変えること。
- 価格のもみ合い中にもETFの純流入が続き、初動の上昇だけに需要が依存しないこと。
- 新たな大規模ショート清算に頼らず、大口保有者の残高増加が続くこと。
- 現物需要を保ちながら無期限先物のファンディングが沈静化し、レバレッジ主導の上昇リスクが低下すること。
- BTCが7万6,000〜7万8,000ドルを維持し、深い調整時にも約6万9,000ドルを守ること。
結論
8月のBTC急騰は、反転初期のシナリオを十分に成立させた。現物ETFへの資金流入が戻り、大口保有者の蓄積も報じられ、価格は6万2,000ドル台から急回復した。
ただし、上昇にはショートカバーの寄与もあり、重要な長期レジスタンスにぶつかっている。弱気相場継続の見方は後退したが、新たな強気サイクルが確定したと判断するには、なお証拠が必要だ。
おおむね8万1,000〜8万3,000ドルを持続的に回復すること、Cycle Momentumが改善を続けること、そしてレバレッジに過度に依存しない需要が継続することが決定的な材料となる。それまでは、7万6,000〜7万8,000ドルの支持帯を巡る値動きが中心的なリスクであり続ける。
本稿は市場分析であり、投資助言または信頼できる価格予測ではありません。