前年同月比で見ると、一線都市の下落率は平均1.1%と、31の二線都市の2.8%、35の三線都市の4.2%より小さい。それでも都市間の差は大きく、主要都市の一部改善が全国的な回復に広がったとは言いにくい。
こうした要因は単月の弱さの一部を説明できるが、長期化する需要不足を解消するものではない。不動産市場は数年にわたって調整局面にあり、先行きへの不安が家計の購入意欲と開発企業の投資意欲を抑えている。7月の統計は一時的な中断というより、政策支援が持続的な需要を生み出せるかを改めて試す結果となった。
7月は不動産以外の指標も勢いを失った。小売売上高は前年同月比0.6%増にとどまり、6月の1.0%増から減速。ロイターがまとめた市場予想の1.5%増も下回った。鉱工業生産は4.5%増で、6月の5.3%増から減速し、予想の4.8%増にも届かなかった。
これらの数字は、住宅市場の低迷が不動産だけの問題ではないことを示している。住宅価格の下落や建設活動の縮小は、家計の confidence(先行きへの信頼)、開発企業の投資、関連消費を同時に下押ししうる。一方、消費の弱さは、不動産主導の成長を別の内需で置き換えることを難しくする。
これは、経済全体が均衡の取れた回復軌道に乗っていることを意味しない。生産や輸出が堅調でも、家計の先行き不安が和らぎ、住宅需要が回復するとは限らない。貿易を巡るリスクが残るなか、外需への依存が強まりやすい点も課題となる。
住宅支援策や政府による市場安定化の表明は、特に大都市で一部の価格下落を縮小させた可能性がある。中国側の公式説明は7月のデータを安定化の兆しと位置づける一方、報道や市場関係者は、幅広い回復には需要がなお不足していると指摘している。下落ペースの鈍化と、市場の脆弱さは同時に成り立つ。
より難しい試金石は、価格そのものよりも販売、投資、着工の動きだ。これらの減少が加速していることは、価格の下落を抑えるだけでは不動産業界全体の信頼を回復できていないことを示す。家計が将来の住宅価値や所得の見通し、建設中の住宅の引き渡しに不安を抱えたままなら、価格対策だけでは購入意欲は戻りにくい。
経済全体の減速も政策対応を難しくしている。第2四半期の実質GDP成長率は前年同期比4.3%と、第1四半期の5.0%から低下し、市場予想も下回った。7月の小売売上高と鉱工業生産は、下半期の出だしで勢いがさらに弱まったことを示している。
中国政府にとっての課題は、家計の需要と信頼感を支えながら、過剰債務を抱えた建設主導モデルへ単純に戻らないことだ。7月の統計が示す当面の目標は、依然として「安定化」である。自律的で持続する住宅回復が始まったと判断するには、まだ材料が足りない。