Zoomは、ミーティングや電話を提供するだけの会社から、そこで生まれる会話を営業活動や業務実行につなげるプラットフォームへと領域を広げようとしています。2026年9月15日に発表したAI搭載の**「収益オペレーティングシステム(revenue OS)」**は、その戦略を営業部門向けに具体化したものです。購買者インテリジェンス、顧客との会話、収益実行を一つの流れとして扱い、匿名の関心シグナルから案件創出、成約、既存顧客への展開までを支援する構想です。
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今回の中心は、Zoom Revenue Accelerator(ZRA)の新機能であるEngageとForecast、新しい最上位プランのZRA Elite、そしてCommon Room by Zoomの提供です。CRMを直接置き換えるというより、SalesforceやHubSpotなどのCRMと連携し、その周辺にある商談会話、見込み客シグナル、フォローアップ、予測をつなぐ「実行レイヤー」を目指しているとみられます。
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Engage:次の営業アクションを組み立てる機能
Engageは、メール、電話、その他のタスクをまたぐ、構造化された営業シーケンスを作成する機能です。Zoomによると、営業担当者のフォローアップを優先順位付けし、自動トリガーを使って多数の見込み客へ効率的にアプローチできるようにします。
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要するにEngageは、買い手の関心や会話から得た文脈を、「誰に、いつ、どの手段で次に連絡するか」という営業行動に変換するための機能です。単なるメール配信ではなく、商談の進捗や購買者の状況を踏まえた継続接点の設計を狙っています。
Forecast:案件シグナルからリアルタイムの売上見通しへ
Forecastは、案件ごとのシグナルをリアルタイムの売上予測に変換する機能です。経営層や営業責任者は全社のコミットメントから個別商談まで掘り下げて確認でき、レベニューオペレーション担当者は表示内容の設定や更新を行えます。
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CRM上で営業担当者が入力した予測値だけを見るのではなく、案件と顧客会話に含まれる情報も判断材料にする設計が特徴です。ただし、導入先で予測精度がどこまで改善するかは、実際の運用とデータ品質を通じて検証されることになります。
ZRA Elite:PremiumにEngageとForecastを加えた最上位プラン
Zoomは、Zoom Revenue Acceleratorの最上位プランとしてZRA Eliteを追加しました。EliteはZRA PremiumにEngageとForecastを組み合わせた提供形態で、ラインアップはEssentials、Premium、Eliteの3段階となります。
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今回の発表資料ではEliteが新プランであることは示されていますが、Elite単体の公開価格は明記されていません。ZRAは、ライセンスを持つZoom MeetingsまたはZoom Phoneの顧客向けに提供されるユーザー単位の追加ライセンスで、利用者ごとに1つのZRAライセンスが必要です。
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Common Room by Zoom:商談前の「誰が買い手か」を把握する
Common Room by ZoomもZoomの販売チャネルを通じて利用可能になりました。Common Roomは、分散した自社データと外部の購買シグナルを統合し、個人単位の購買者インテリジェンスを作成したうえで、AIエージェントを通じて活用するための製品です。
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これにより、Zoom Revenue Acceleratorの対象範囲は会議や電話が始まった後だけではなくなります。たとえば、購買意向を示している可能性のある人物を把握し、Engageでのアプローチに反映し、その文脈を通話や売上予測へ持ち込む、という流れです。Common Roomは、ZRAの各製品を単独でも組み合わせても使えると説明しており、同社の購買者インテリジェンスが共通の文脈を強化するとしています。
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Zoomが描く流れ:シグナルから予測まで
今回の発表は単一機能の追加というより、営業プロセス全体を接続する構想です。
- Common Roomで購買の可能性がある人物やシグナルを把握する。
- Engageで連絡・フォローアップのシーケンスを動かす。
- Zoom Revenue Acceleratorで顧客との会話を記録・分析する。ZRAはZoom MeetingsとZoom Phone向けの会話インテリジェンス追加機能です。
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- Forecastでパイプラインを評価し、売上見通しを確認する。
Zoomはこの一連の仕組みを、購買者インテリジェンス、会話分析、アウトリーチ、予測を統合するものとして位置付けています。
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SalesforceやHubSpotに近づくが、「CRM代替」とは言っていない
今回の投入先は、見込み客インテリジェンス、営業支援、会話インテリジェンス、売上予測といったCRM周辺の領域です。TechTargetは、ZoomがSalesforceやHubSpotと競合しながらエンタープライズでの存在感を再構築しようとする動きだと報じています。
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Zoomの差別化要因として考えられるのは、すでに保有しているコミュニケーション基盤です。ZRAはZoom MeetingsとZoom Phoneを基盤にしており、会議・通話分析をCRMデータと結び付け、リアルタイムのコーチング、案件リスク分析、管理業務の要約などを提供するとしています。
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もっとも、Zoom自身も、収益インテリジェンスはSalesforceやHubSpotのようなCRMと統合したときに最も有効だと説明しています。
42 したがって現時点ではCRMを置き換える競争というより、CRMの周囲にある営業データと行動を、Zoom中心でどこまで改善できるかが焦点になります。
伸びが鈍化したZoomにとっての意味
Zoomの2026年度売上高成長率は4.4%で、前2年度はいずれも3.1%でした。2026年度のエンタープライズ事業は6.5%成長し、ZoomはMicrosoft TeamsやCiscoからの切り替えを含む大型顧客の獲得も挙げています。
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こうした数字は、より単価が高く、複数製品を組み合わせるエンタープライズ提案の重要性を示します。収益管理ソフト、電話、コンタクトセンター、AIによる業務支援を組み合わせれば、顧客がZoomとの契約を単体のビデオ会議ライセンス以上に広げる理由になり得ます。
Zoomは自社の「system of action」戦略について、顧客対応と社内業務の双方で、会話を完了済みのワークフローに変える取り組みだと説明しています。
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「会話から完了へ」を広げる周辺製品
営業領域の収益OSは、Zoomが会議以外へ拡張する動きの一部です。AI Productivity Suiteには、Zoom Canvas(旧Zoom Docs)、Zoom Slides、Zoom Sheets、Zoom Paperが含まれ、会話の文脈を文書、プロジェクトトラッカー、プレゼンテーションなどの成果物へつなげることを目指します。
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さらにZoomMateは、エージェント型検索、AIによるプレゼンテーションや成果物の生成、Salesforce、Jira、Slack、ServiceNowなどでの自動実行を組み合わせる製品です。
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マーケティング面では、「Zoom Ahead」キャンペーンがこの方向性を表現しています。2026年9月には、ケイト・マッキノンを起用した「Zoom Got It Done」広告を公開し、NFLのマンデーナイトフットボールで放映予定としました。広告は、会話から生まれた仕事をAIファーストのZoomプラットフォームが完了まで支援するというメッセージを打ち出しています。
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まとめ
Zoomの今回の発表は、営業会話を起点とする「収益の実行システム」を作ろうとする試みです。Engageはアプローチとフォローアップ、Forecastは詳細な売上可視化、Eliteは新機能を含む上位プラン、Common Roomは商談前の購買者インテリジェンスを担います。
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すでにZoom MeetingsやZoom Phoneを使う企業にとっては、見込み客の文脈、通話、営業活動、予測を近い場所で扱えることが提案価値です。一方で、Salesforce、HubSpot、Microsoftのようにデータや業務フローが深く定着した競合がいるなか、Zoomが導入企業に測定可能な営業成果を示せるかどうかが、普及を左右することになります。