Xiaomiは、自社開発としては2世代目となるフラッグシップ向けスマートフォンSoC「Xuanjie O3」を発表しました。海外では「XRING O3」とも表記されます。
3nmプロセスで製造されるこのチップは、CPUやGPUのピーク性能だけでなく、オンデバイスAI、次世代メモリー、Xiaomi独自のAIモデルを一体で強化する設計が特徴です。
最大の話題は、Xiaomiが公表したAnTuTuスコア522万点超です。同社や複数の報道は、フラッグシップ向けモバイルSoCとして初めて500万点を突破したと説明しています。ただし、この数値は現段階でXiaomi側が示した発表時の結果であり、独立した実機検証による記録として確立したものではありません。
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開発期間は459日、3nmで240億トランジスタ
Xiaomiによると、O3は2025年5月22日に発表された初代Xuanjie O1から459日後に登場しました。単なる小幅アップデートではなく、自社シリコン戦略の次の段階を担うチップとして位置付けられています。
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O3は3nmプロセスを採用し、240億個のトランジスタを集積します。Reutersは、関係者の話として、台湾積体電路製造(TSMC)が同社の3nm技術で製造する見通しだと報じています。
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10コアすべてを高性能コアにしたCPU
CPUは、高性能コアと省電力コアを組み合わせる一般的な構成ではなく、10コアすべてを大規模な高性能コアで構成する設計です。報じられている内訳は次の通りです。
- C1-Ultra:2コア、最大4.35GHz
- C1-Premium:4コア、最大3.68GHz
- C1-Pro:4コア、最大3.15GHz
Xiaomiは、マルチコア性能が1万5,000点を超え、O1から60%向上したと説明しています。Notebookcheckが発表時に共有された数値として報じたGeekbench 6.5の結果は、シングルコア3,945点、マルチコア15,221点でした。いずれも発売初期に示された数値であり、市販端末を使った継続性能や電力効率の評価とは分けて考える必要があります。
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全コアを高性能コアにする設計は、マルチタスクや大規模AI処理などで有利になる可能性があります。一方、スマートフォンでは発熱、バッテリー容量、冷却機構、長時間動作時の電力制限が実際の性能を左右します。ベンチマークの数字だけで日常使用時の快適さを判断するのは早計です。
16コアGPUと第3世代レイトレーシング
グラフィックス処理は、16コアの「G2-Ultra NX」GPUが担当します。Xiaomiは、前世代に比べてグラフィックス性能が85%向上し、GPUの消費電力を64%削減したと主張しています。第3世代のレイトレーシングにも対応します。
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このGPUはゲーム向けの強化にとどまりません。報道によると、GPUの一部には専用のニューラルアクセラレーターも組み込まれています。AI処理をNPUだけに任せず、SoC内の複数の演算ユニットへ分散する考え方がうかがえます。
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ただし、85%の性能向上や64%の消費電力削減はXiaomi独自の比較値です。実際のゲーム性能は、端末の冷却性能、ソフトウェア最適化、持続電力、ゲームタイトルによって変わります。
LPDDR6対応でメモリー帯域は113.8GB/s
Xuanjie O3は、LPDDR6に対応する初のモバイルプロセッサとうたわれています。メモリー速度は最大10,667Mbps、帯域幅は113.8GB/sで、O1に対して48%増加したとされています。
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メモリー帯域が広がれば、高解像度グラフィックス、画像処理、オンデバイスAIのように大量のデータを演算ユニット間で移動させる処理にメリットがあります。
もっとも、帯域幅が48%増えたからといって、アプリの起動やウェブ閲覧が同じ割合で速くなるわけではありません。ソフトウェアの対応状況や発熱による性能制限も、体感速度を大きく左右します。
NPUをXiaomi MiMo向けに再設計
O3で最もXiaomiらしさが表れているのが、ニューラル処理装置(NPU)の再設計です。Xiaomiは、自社のオンデバイス大規模モデル「Xiaomi MiMo」を動かすことを念頭にNPUを一から再構築したと説明しています。
演算性能は、テンソル演算で最大200 TOPS、ベクトル演算で3.13 TFLOPS。オンデバイスAI性能は45%向上したとされています。
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さらに、AI処理をNPUだけに集約せず、CPU、GPU、ISP、DPU、オーディオDSP(ADSP)にも分散させます。報道では、CPUのニューラルアクセラレーター、GPUに追加されたNXニューラルアクセラレーター、ISP内のAIノイズ低減ユニット、DPUのハードウェアAI超解像ユニットなどが挙げられています。
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この設計が重要なのは、スマートフォンのAI処理が一種類ではないからです。写真の補正、音声処理、生成AI、大規模モデルの推論では必要な演算が異なります。O3はSoC全体にAI処理能力を配置し、MiMoを主要なソフトウェア用途として活用する構想です。
第5世代ISPと画像処理機能
O3には、コンピュテーショナルフォトグラフィーや動画処理を担うXiaomi独自の第5世代ISPも搭載されます。報道では、高解像度センサーへの対応、AIナイトビデオ、H.266のハードウェアデコードなどが紹介されています。
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一部の報道では、最大432MPのセンサー処理や4K・60fpsのAI夜景動画処理にも言及されていますが、利用可能な情報源の間でISPの詳細仕様は一貫していません。そのため、これらは発表された仕様として扱うべきで、実際のカメラ画質を保証するものではありません。
RISC-Vセキュリティと82ナノ秒の低遅延
Xiaomiは、RISC-Vベースのセキュリティコンポーネントも強調し、関連するセキュリティ認証を取得したと説明しています。ただし、公開されている報道だけでは認証の名称やレベルを明確に特定できないため、具体的な評価まではできません。
また、同社は静的レイテンシー82ナノ秒や低消費電力化の最適化もアピールしています。測定方法が示されていないため、この数値もXiaomiによる公表値として受け止めるのが適切です。
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O3は3チップ戦略のスマートフォン向け中核
XiaomiはO3と同時に、次の3種類のXuanjieチップを発表しました。
- Xuanjie O3:プレミアムスマートフォンやタブレット向けのAIフラッグシップSoC
- Xuanjie O100:高帯域幅を重視したAIアクセラレーター
- Xuanjie D100:3nmプロセスを採用するインテリジェントドライビング向けチップ
このラインアップからは、Xiaomiがチップ開発をスマートフォン用アプリケーションプロセッサだけに限定していないことが分かります。O3は端末全体のフラッグシップ基盤を担い、O100とD100はより大規模なAI処理や自動車分野を狙います。
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量産を開始、初搭載はXiaomi 18 Foldとタブレット
XiaomiはO3が量産に入ったと発表しています。Reutersは関係者の話として、初期出荷目標が約20万〜30万個になる見通しだと報じました。QualcommやMediaTekを採用する端末と比べると、初回の展開規模は限定的になる可能性があります。
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初のスマートフォン搭載機は、2026年9月に中国で発売予定の折りたたみ端末「Xiaomi 18 Fold」です。また、タブレットでは「Mi Pad 9 Pro Max」がO3を搭載する最初の製品になるとXiaomiが説明しています。
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522万点よりも重要な「一体設計」
Xuanjie O3の意義は、AnTuTuのスコアが大台を突破したことだけではありません。10コアの全ビッグコアCPU、新GPU、LPDDR6、MiMoを軸にしたAIアーキテクチャを、ひとつのプラットフォームとして組み上げようとしている点にあります。
購入を検討するユーザーにとっての本当の評価は、独立したAnTuTuやGeekbenchの結果、長時間のゲーム性能、バッテリー持続時間、カメラ画質、そして初期端末にどれだけMiMo対応機能が実装されるかで決まります。
XiaomiにとってO3は、外部チップメーカーへの依存を抑え、ハードウェアからソフトウェアまでを自社で最適化するための重要な一歩です。AnTuTu 522万点という見出しの裏側で、同社はオンデバイスAIをフラッグシップ端末の中心に据える姿勢を明確にしています。
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