IFAベルリン2026の開幕を前に、ミニPCメーカーのVZMOREとGMKtecが、ローカルAIやコンテンツ制作を意識した新製品を相次いで予告しました。
VZMOREはAMD・Intel両方のプラットフォームを採用した4機種を発表予定で、GMKtecはAMDのRyzen AI Max+ PRO 495を搭載する「EVO-X5 Pro」を披露します。いずれも従来の省スペースなオフィスPCより高い性能を狙う製品ですが、現時点では価格、メモリー構成、電力制限、長時間負荷時の性能など、購入判断に必要な情報の多くが明らかになっていません。
VZMOREはAMD・Intelの4機種を展開
VZMOREは、ベルリンで開催されるメディアイベント「ShowStoppers @ IFA」で、AX9 Max、AX9 Ultra、iX9 Max、iX9 Ultraの4機種を展示します。4製品は2026年10月中旬の世界発売を予定しており、最終的な構成、価格、地域ごとの販売状況は発売が近づいてから発表される見通しです。1213
AMD搭載モデル
- AX9 Max:AMD Ryzen AI 9 HX 470、Radeon 890Mの統合グラフィックス、最大55 TOPSの専用Ryzen AI NPUを搭載します。2基の2.5GbEポートも備えるとVZMOREは説明しています。25
- AX9 Ultra:AMD Ryzen AI Max 388とRadeon 8060Sの統合グラフィックスを採用します。VZMORE独自の「V-Boost Max」設定では、最大120Wの電力枠に対応すると報じられていますが、これはメーカー側の説明であり、独立した性能測定ではありません。58
AX9 Ultraは、ローカルAI推論、コンテンツ制作、負荷の高いグラフィックス処理を想定した、AMD側の上位モデルに位置付けられます。一方で、メモリー容量、ストレージ、ポート構成、持続電力、価格を含む完全な製品仕様はまだ公開されていません。
Intel搭載モデル
- iX9 Max:Intel Core Ultra 9 185HとIntel Arcグラフィックスを組み合わせ、コンテンツ制作や複数ディスプレイを使う作業を想定しています。13
- iX9 Ultra:Intel Core Ultra X9 378H、Intel Arc B390グラフィックス、最大50 TOPSのNPUを搭載します。34
Intelモデルは、VZMOREのAMD製品とは異なる選択肢になります。ただし、4機種の価格差や実性能を比べるには、メモリー、ストレージ、電力設定、冷却仕様などの追加情報が必要です。
共通の売りは「V-Cooling」冷却技術
VZMOREは、4機種すべてに独自の「V-Cooling」アーキテクチャを採用すると説明しています。同社によれば、熱を拡散する面積を40%広げ、熱伝達効率を50%改善した設計です。9
また、AX9 MaxとAX9 Ultraにはベイパーチャンバー冷却が搭載されると報じられています。1015
ただし、これらの数値はメーカー公称値であり、長時間の高負荷動作を保証する独立データではありません。実際にAI推論、レンダリング、ゲームを連続して実行した場合に、CPUやGPUのクロックをどの程度維持できるのか、ファンノイズや温度がどの水準になるのかは、実機テストを待つ必要があります。
GMKtecのEVO-X5 Proは詳細をIFAで公開へ
GMKtecは、AMDのRyzen AI Max+ PRO 495を搭載する最初のミニPCとして「EVO-X5 Pro」を発表しました。20
正式な「Global Launch Event」は、IFAベルリン会期中の**2026年9月5日午後3時30分(CEST)**に、ドイツ・ベルリンのメッセ・ベルリン、ホール5.2のブース455で開催されます。20
現時点でGMKtecが明らかにしていない項目は多く、グラフィックスへのメモリー割り当て、NPU性能、メモリー容量、電力制限、ポート、冷却方式、性能チューニング機能、販売構成、価格、出荷時期はいずれも確定していません。2035
Ryzen AI Max+ PRO 495プラットフォームについては、最大192GBのユニファイドメモリーに対応するとの報道があります。しかし、これはプラットフォームの能力に関する情報であり、EVO-X5 Proの製品版構成が192GBになると確認されたわけではありません。3340グラフィックス性能や実際のAI処理速度についても、GMKtecがシステム全体の仕様を公開するまでは判断できません。
価格と発売時期は?
VZMOREは、4機種の最終価格と地域別の販売情報を、2026年10月中旬の発売が近づいた段階で発表するとしています。13
一方、Notebookcheckは、32GBメモリーと1TBストレージを搭載したAX9 Maxの構成について、価格が1,500ドルを下回ると報じました。ただし、これは初期の販売情報であり、4機種全体の確定価格や日本を含む各地域の価格を示すものではありません。15
GMKtecはEVO-X5 Proの価格と発売日をまだ発表していません。9月5日のイベントは製品発表の場であり、同日から一般購入できることを意味しない点にも注意が必要です。2035
GEEKOMとMinisforumもIFAでAI向け製品を展示
IFA 2026でローカルAI対応の小型デスクトップを打ち出すのは、VZMOREとGMKtecだけではありません。
GEEKOMは、4台のA9 Megaを組み合わせた分散型ローカルAI構成「AGENT 4N」を展示する予定です。各システムはAMD Ryzen AI Max+ 395、Radeon 8060S、128GBのメモリーを搭載し、4台を接続した場合は合計512GBのメモリープールになると報じられています。1718
MinisforumのIFA 2026ページには、MS-03 AI Edge Workstation、M2 Pro Ultra X7、UM750 Neo、T5 MaxなどのシステムやAIワークステーションが掲載されています。プロセッサー、メモリー、ストレージについて一部情報が示されているものの、最終価格や独立した性能測定結果までは確認できません。27
ミニPCは「小型オフィスPC」からローカルAIワークステーションへ
今回の発表から見えてくるのは、ハイエンドミニPCの役割が、低消費電力の事務作業用端末から、より重い処理を継続的に担う小型ワークステーションへ広がっていることです。各社が重視しているのは、主に次の要素です。
- NPUによる端末上のAI処理
- CPUとメモリーを共有する高性能な統合GPU
- 従来のディスクリートGPUのVRAMには収まりにくいモデルを扱うための大容量ユニファイドメモリー
- 長時間の高負荷処理を想定した冷却機構と性能チューニング
- GEEKOMのAGENT 4Nに見られる、複数台を組み合わせるモジュラー型の構成1718
もっとも、NPUのTOPS値や発表時点のスペックだけで、ローカルAIの実用性能を判断することはできません。購入を検討する際には、持続クロック、温度、ファンノイズ、メモリー帯域、モデルの処理速度、ソフトウェア互換性、そしてシステム全体の価格を確認する必要があります。
現段階で最も具体的な情報を示しているのは、2026年10月中旬の発売目標と4機種の概要を公開したVZMOREです。GMKtecはRyzen AI Max+ PRO 495という注目度の高いプロセッサーを先に打ち出しましたが、EVO-X5 Proが実際にどのような構成と価格で登場するのかは、9月5日のIFA発表まで持ち越されています。