こうした軍事的な情勢の変化が、ゼレンスキー氏の言う「交渉の窓」を生み出している。同氏はCBSに対し、「ロシアは今後も毎月、より多くの兵士を失い続けるでしょうから、私たちには交渉の窓があると信じています」と述べた 。その上で、タイムリミットは冬の到来であると強調し、「冬が来る前に、私たちは外交的な道、すなわち話し合いの場に着く方法を見つけなければなりません」と語った
。
番組内で、ロシアとの交渉による終戦は可能かと問われたゼレンスキー氏は、「もちろん可能です」と明言した 。同年の初めに行われた米国を含めた三者協議をはじめ、様々な対話の枠組みに参加する用意があることを示した。ただし、最も強固な交渉の枠組みはより広範で、ウクライナ、米国、欧州、そしてロシアが一堂に会する形式であるとの見解を示した
。
一方で、外交的な突破口は保証されたものではなく、外部からの影響力が不可欠だと強調した。具体的には、「更なる圧力」が必要だとし、ウラジーミル・プーチン大統領に真剣な交渉を促すための「主要な手段」として、制裁措置の強化を挙げた 。同氏は、交渉による解決の道筋は、プーチン氏に対する国内的な圧力と、米欧による制裁強化にかかっており、それがクレムリンを対話へと向かわせ得ると主張した
。
今回のインタビューで中心的な不満として表れたのが、米国が仲介する外交プロセスの現状だ。ゼレンスキー氏は協議が停滞していることを認め、その原因をワシントンの優先順位の変化に帰した。「彼らは焦点を中東に移しました。そのため、私たちの外交交渉には幾つかの『一時停止』が生じているのです」と説明した 。
この膠着状態は、米国の特使であるスティーブ・ウィトコフ氏とジャレッド・クシュナー氏の行動と密接に関係している。ゼレンスキー氏は、米国の交渉担当者がモスクワを複数回訪問している一方で、未だにキーウを訪れていないと指摘 。そして、極めて公の場で、現在のアプローチへの批判を込めた招待状を叩きつけた。「彼らがウクライナに来て、人々の様子、彼らがどう暮らし、何を望んでいるのかを見ることが重要だと思います。モスクワに行きたいのなら、まずキーウに来るべきです」
。同氏は、米国側が戦争の実態と和平実現への現実的な見通しを完全に理解するためには、ウクライナでの直接体験が不可欠だと訴えた
。
この呼びかけは、長期にわたり複雑化した一連の外交の後に出てきたものだ。2025年12月、ウィトコフ、クシュナー両氏が率いる米代表団とゼレンスキー氏のキーウでの会談が予定されていたが、12月2日に行われたクレムリンでのプーチン氏との5時間に及ぶ会談が何の進展もなく終了した直後に、この計画は中止された 。米特使らはその後、12月6日にフロリダでウクライナ代表団と、12月14日にベルリンでゼレンスキー氏本人と会談したものの、結局キーウ訪問は実現しなかった
。今回のインタビューでの発言は、こうした不在を解消しようとするゼレンスキー氏の、これまでで最も直接的な公的試みと言える。
Comments
0 comments