Wei氏が量産への投入を見送る理由として挙げたのは、たった一言、「コスト」だった。High-NA EUV装置は1台あたり4億ドル(約600億円)以上と、既存のEUV装置の約2倍の価格である 。Wei氏は株主に対し、この装置が量産で経済的に見合うようになるまで待つと説明した 。
この発言は、2026年4月に副共同最高執行責任者(COO)のKevin Zhang氏が「現時点で導入計画はない」と述べ、「非常に高価だ」とコメントしたことで生じた混乱を鎮めるものだった 。Wei氏は株主総会で、TSMCが永久に導入を見送るつもりだという印象を否定。真の戦略は、既存の低NA(開口数)EUV装置の性能を可能な限り引き延ばすことにあると説明した。TSMCの研究開発チームは、次世代装置に切り替えることなくチップ性能を向上させる方法を次々と見出しており、Zhang氏もその能力を「驚くべきものだ」と評している 。
業界アナリストは現在、TSMCが2029年を目標とするA13ノードでHigh-NA EUVを必要としないと予想しており、同社での同技術の量産デビューはそれ以降にずれ込むと見ている 。
Wei氏の慎重な姿勢とは対照的に、インテルとSKハイニックスは積極的な動きを見せている。両社は早ければ2027年にも、AI向けの最先端ロジック半導体や広帯域メモリ(HBM)の製造にHigh-NA EUV装置を使用する準備を進めている 。業界で初めて2023年12月にHigh-NA EUV装置を受け取ったインテルは、14Aノードの準備として、開発用マシンで既に約30万枚のウェハを処理した 。SKハイニックスは、メモリ施設で研究開発用のHigh-NA装置を組み立てた初のチップメーカーとなった 。
ASMLのクリストフ・フーケCEOは2026年5月、High-NA EUV装置で製造された最初の商用チップがメモリ、ロジックの両分野で「数カ月以内に」登場するだろうと述べ、状況に拍車をかけている 。
Wei氏は、先行者が永続的な優位性を獲得するという見方を一蹴した。TSMCは**「競合他社に事欠いたことはない」**と述べ、高価な装置への移行を急ぐのではなく、プロセス革新と既存EUVの最適化に引き続き注力するとした 。具体的には、インテルの18Aプロセスやサムスンファウンドリを競争上の脅威として挙げつつも、TSMCは「常にリードし続けるために努力する」と自信を示した 。
装置戦略に加え、Wei氏は人工知能(AI)ブームについても厳しい現実を突きつけた。**「AI需要は非常に高く、我々はこれだけしか生産できない」**と述べ、AIが牽引する先端半導体の需要が、今後何年も供給制約の状態に留まるとの見通しを株主に語った 。
需要は一般消費者、企業、各国政府の「ソブリンAI」プログラムから発生しており、顧客企業はAI業界の将来性に対して圧倒的に強気の姿勢を崩していないとWei氏は言う 。米国での工場拡張をはじめとする新たな製造能力をもってしても、TSMCは受注の全てを満たすことはできないと明言した 。
AI特需はTSMCの財務諸表にも如実に表れている。同社が発表した2026年第1四半期の売上高は1.13兆台湾ドル(約357億米ドル)と、前年同期比で35%増加し、純利益は58%増の過去最高となる5725億台湾ドル(約177億米ドル)に跳ね上がった 。Wei氏は2026年通期の売上高成長率を30%超と予想している 。
これらの数字は、売上高と一株当たり利益が共に過去最高を記録し、株価が1年で2倍以上に急騰した2025年の記録的な業績に続くものである。株価は1株950台湾ドルから2,425台湾ドルへと、わずか1年で跳ね上がったのだ 。
需要に追いつくため、TSMCは2026年の設備投資額を520億~560億米ドル(約7.8兆~8.4兆円)と計画しており、その大半は最先端ノードの製造能力拡大に充てられる 。
Wei氏が量産への投入を見送る理由として挙げたのは、たった一言、「コスト」だった。High-NA EUV装置は1台あたり4億ドル(約600億円)以上と、既存のEUV装置の約2倍の価格である 。Wei氏は株主に対し、この装置が量産で経済的に見合うようになるまで待つと説明した 。
この発言は、2026年4月に副共同最高執行責任者(COO)のKevin Zhang氏が「現時点で導入計画はない」と述べ、「非常に高価だ」とコメントしたことで生じた混乱を鎮めるものだった 。Wei氏は株主総会で、TSMCが永久に導入を見送るつもりだという印象を否定。真の戦略は、既存の低NA(開口数)EUV装置の性能を可能な限り引き延ばすことにあると説明した。TSMCの研究開発チームは、次世代装置に切り替えることなくチップ性能を向上させる方法を次々と見出しており、Zhang氏もその能力を「驚くべきものだ」と評している 。
業界アナリストは現在、TSMCが2029年を目標とするA13ノードでHigh-NA EUVを必要としないと予想しており、同社での同技術の量産デビューはそれ以降にずれ込むと見ている 。
Wei氏の慎重な姿勢とは対照的に、インテルとSKハイニックスは積極的な動きを見せている。両社は早ければ2027年にも、AI向けの最先端ロジック半導体や広帯域メモリ(HBM)の製造にHigh-NA EUV装置を使用する準備を進めている 。業界で初めて2023年12月にHigh-NA EUV装置を受け取ったインテルは、14Aノードの準備として、開発用マシンで既に約30万枚のウェハを処理した 。SKハイニックスは、メモリ施設で研究開発用のHigh-NA装置を組み立てた初のチップメーカーとなった 。
ASMLのクリストフ・フーケCEOは2026年5月、High-NA EUV装置で製造された最初の商用チップがメモリ、ロジックの両分野で「数カ月以内に」登場するだろうと述べ、状況に拍車をかけている 。
Wei氏は、先行者が永続的な優位性を獲得するという見方を一蹴した。TSMCは**「競合他社に事欠いたことはない」**と述べ、高価な装置への移行を急ぐのではなく、プロセス革新と既存EUVの最適化に引き続き注力するとした 。具体的には、インテルの18Aプロセスやサムスンファウンドリを競争上の脅威として挙げつつも、TSMCは「常にリードし続けるために努力する」と自信を示した 。
装置戦略に加え、Wei氏は人工知能(AI)ブームについても厳しい現実を突きつけた。**「AI需要は非常に高く、我々はこれだけしか生産できない」**と述べ、AIが牽引する先端半導体の需要が、今後何年も供給制約の状態に留まるとの見通しを株主に語った 。
需要は一般消費者、企業、各国政府の「ソブリンAI」プログラムから発生しており、顧客企業はAI業界の将来性に対して圧倒的に強気の姿勢を崩していないとWei氏は言う 。米国での工場拡張をはじめとする新たな製造能力をもってしても、TSMCは受注の全てを満たすことはできないと明言した 。
AI特需はTSMCの財務諸表にも如実に表れている。同社が発表した2026年第1四半期の売上高は1.13兆台湾ドル(約357億米ドル)と、前年同期比で35%増加し、純利益は58%増の過去最高となる5725億台湾ドル(約177億米ドル)に跳ね上がった 。Wei氏は2026年通期の売上高成長率を30%超と予想している 。
これらの数字は、売上高と一株当たり利益が共に過去最高を記録し、株価が1年で2倍以上に急騰した2025年の記録的な業績に続くものである。株価は1株950台湾ドルから2,425台湾ドルへと、わずか1年で跳ね上がったのだ 。
需要に追いつくため、TSMCは2026年の設備投資額を520億~560億米ドル(約7.8兆~8.4兆円)と計画しており、その大半は最先端ノードの製造能力拡大に充てられる 。