Bosque Foodsは、ひき肉ベースのパテやミートボールではなく、ステーキやフィレ肉のような「ホールカット(Whole-Cut)」の代替肉の開発に注力していた。
ホールカット製品は、菌糸体で再現するのが技術的に難易度が高い。すでに「MushRoots」ブランドでミートボールやバーガーパティを販売しているInfinite Rootsが、この開発パイプラインを取り込むことで、代替プロテイン市場の中でもより単価の高いセグメントにアクセスできるようになる。
買収によって、Bosque Foodsが蓄積してきた発酵プロセスの独自データセットと知的財産もInfinite Rootsの手に渡る。
CEOのマゼン・リスク博士は、業界の次のフェーズを「バイオロジー、プロセスデータ、知的財産、そして産業実装を統合できる企業が求められる段階」と説明。今回の技術統合により、より幅広い製品フォーマットでの迅速なスケールアップが可能になると述べている。
この資金はもともと、生産能力の拡大と世界的な製品展開のために確保されていたものだ。経営不振に陥っていたBosque Foodsの技術と人材を内部に取り込むことで、通常なら自社開発に数年と多大なコストを要する固相発酵のノウハウとホールカット製品のパイプラインを、一気に獲得した形になる。
また、EUの新規食品規制は、欧州市場における菌糸体製品の上市にとって依然として大きな関門となっている。 技術プラットフォームを一本化することで、規制対応のリソースを集中させ、安全性やプロセスデータをより効率的に共有し、産業スケールアップと並行して承認取得を進める狙いもあると見られる。
この買収は、菌糸体フードテック市場が「発見」の段階から「統合」の段階へと移行しつつあることを示している。潤沢な資金と強固な知的財産ポートフォリオ、そして産業化対応のプラットフォームを持つ企業が、単独での商業化が難しい初期段階の競合を吸収する局面に入ったのだ。